マリア・カラスほど、映像で本領を発揮するプリマドンナはいない。
本作に収録されているのは、1958年パリ・オペラ座で行われたレジオン・ドヌール勲章事業の栄えある公演の模様で、時の大統領ルネ・コティを筆頭に、フランスを代表する文化人・芸能人が列席していた。そして、同郷ギリシャの船舶王オナシスがこのコンサートでカラスを見そめ、その後カラスは歌にすべてを捧げた生活から一転して、恋に生きることになったのである。この公演は、彼女がオペラ歌手としての頂点を極めたものといえるだろう。
第1部はコンサート形式で、「ノルマ」のノルマ、「イル・トロヴァトーレ」のレオノーラ、「セヴィリアの理髪師」のロジーナのアリアを歌い、第2部はカラスの代表的な持ち役「トスカ」の第2幕を上演するという、たいへん豪華な仕立てとなっている。彼女の歌唱のテクニックと豊かな声の表情、そしてオペラでは演じない役柄のアリアを聴くことができる第1部。
そして第2部の「トスカ」では、横恋慕する警視総監スカルピア役にバリトンの重鎮ティット・ゴッビを得て、カラスは迫真の演技そして歌唱力を発揮している。とてもドラマティックで、カラス以上のトスカを見ることは、かなわいのではないかと思うほど。マリア・カラスの魅力があますところなく表現されている作品である。(志賀洋子)
素晴らしい
★★★★★
他のレビュアーの方々の評価に違わず、素晴らしいDVDでした。
1950年代録画ということでコンサートの収録はモノクロです。
画質的に多少見苦しい点はありますが、音楽レーベルのDVDだけあって音質は比較的良く、視聴に不快さを感じません。
何よりそんなことを忘れさせるほど、カラスの魅力に圧倒されます。
客席からは鳴りやまない拍手とブラボーの嵐、思わず観ているこちらも「ブラボー!」と
立ち上がりたくなります。
第一幕の2曲目が“casta diva”、第二幕のトスカに至っては、まさに圧巻です。
廃盤ということで入手しずらくなっていますが、オペラファンの方には是非お勧めします。
天女マリア・カラスに惚れ込んで幾年たったやら...
★★★★★
目を閉じて聞く。
こんな 魅力的な歌をうたうひとがいるのだろうか。すばらしい声・・・
生き物としての 人体の構造とそれを使用するとこのような音がで、歌になる。すばらしい歌・極限の美しさに 私は圧倒される。
このような 歌をうたうことを運命づけられた人を 神は つくった。
まぶたを あける。
まばゆい カラス!
素敵なカラスがいる。
人の勢いとは このような瞬間をいうのであろうか。
神は 色々な悪戯をされる。そうとしか おもえない。
今、この DVDで 私たちは 世にも不思議な 人間の女性と 出会える。
人間を讃歌したくなる。
カラスにうっとり
★★★★★
今までテノールしか聞いていなかった私にとって、このDVDはある意味ショックでした。casta divaを何回観直したか知れません。カラスの体全体で表現する歌は、何度見ても釘付けになってしまいます。当時の男たちが、カラスに夢中になっていた事は容易に想像出来ます。暫くその他のオペラを聴くことが出来ませんでした。何度観ていても飽きが来ないというのも珍しい経験です。いつの日か、彼女を超えられるソプラノが出てくるのを心待ちにしていますが、はたして生きているうちに可能でしょうか。
トスカのすごさに脱帽!!
★★★★★
動く映像でマリア・カラスが見ることができるなんて、すごいことだと思う。彼女の現役時代を知らなくても映像がそれを残してくれるから。
特にトスカの第二幕はすごい!!ラスト近く、「トスカ、とうとうわしの物だ」 「これがトスカのキスよ!」のくだりは目が釘付けになる。それだけでなく、苦しみのた打ち回るゴッビのスカルピアやトスカの「死ね!死ね!」の声も本当に大迫力。古い映像ではあるけれど、全然そんな事問題にならない。カラスファンならずともぜひ見て欲しい。彼女の歌っているところを記録した映像は本当に少ないことが何よりも惜しい。もし、カラスが後20年遅く生まれていたら、もっと多くの作品が映像で残っただろうと思う。
やっぱりマリアカラスは最高!
★★★★★
今まで彼女の作品はCDでよく聞いておりましたが、こんな古いすばらしい映像が見れるとは、、やはりDVDはすばらしい!当時パリ・オペラ座での熱狂と感動を実感できる作品です。音も多少のライブの雑音はあっても、歌声は信じられないほどすばらしく、やっぱりカラスの声のすばらしさは本物、録音技術のよしあしではないことがわかりました。