クリエイターのロバート・コクラン、脚本家チーム、そして監督陣は見事な仕事ぶりを見せている。ジグゾーパズルのピースをはめ込みながら、ジワジワと緊張感をアップさせているのだ。連邦捜査官ジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)は、アフリカ系アメリカ人の大統領候補を標的にした暗殺計画を阻止し、自分の妻と娘をバルカン半島の悪党一味の魔手から救おうとLAを奔走する。意表を突く展開、捜査の進展、驚くべき新事実、絶対絶命の危機が、退屈する間もなく次々と盛り込まれる。とはいえ、欠点がないわけではない。プロットに不自然な点があるとか(都合よく記憶喪失になる人なんて、果たして実在するだろうか?)、最後の“意表を突く展開”がまったくの無意味だとか、家族の愛をこれ見よがしに強調しすぎるとか、デニス・ホッパーのセルビアなまりがひどいとか…。
そういった不満もあるにせよ、従来のテレビ・ドラマの枠を突き破った作品であることは間違いない。主演のサザーランドは、本作で一気に低迷から抜け出し、ゴールデン・グローブ賞受賞も納得の名演を見せている。ショーン・キャラリーによる音楽もパワフルで、陰うつなムードをかもし出す。『Murder One』や『ザ・ソプラノズ』と同様に、『24』は今後のスリラー番組の指標となりそうなテレビ・シリーズのひとつだ。(Philip Kemp, Amazon.com)