人間平田裕香
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一番驚かされたのは「作りの複雑さ」です。モノローグ中の映像で髪の長さがたびたび変化します。モノローグが実際に進んでいる部分は髪が短いので、モノローグ自体は後からの撮影であり、先の撮影部分に音声編集であることが即座にわかります。そんなこんなで、関連する作品は前作の『よこがお』だけでなく、SabraのDVDムックにも及び、今までにない「3本で以上でワンセット」という作りには、本当に驚かされました。
今回の作品群はモノローグにあるとおり『平田裕香さんが自ら考え、自ら動いた結果としての作品』ということにつきると思います。「人から動かされ続ける」ということは、自分の信念・自分らしさを失うことにもなりかねず、決しておもしろいものではありません。現在の自分が持っている信念・自分らしさを大事にしつつ、常に新たな自分自身を追い求め続けることの難しさを考えさせらてしまいます。時間とともに人間は変わっていくことでしょうが、これまでの平田裕香さんの全作品を通して見るとよりいっそう『「変わる」ということはどういうことか』を考えさせられてしまいます。だからこそ、今回の作品群は「人間平田裕香の魅力」が詰まった作品であるとも言えると思います。平田裕香さんの「女優観」というべきものや「人生観」がモノローグの中に全て表われていると思います。ですから、「映像的内容」はさほど問題ではなく、「人間的魅力」に溢れており、「人間平田裕香に対する愛おしさ」を感じさせる作品に仕上がっていると思います。