「死」というもの・・・それは悲しみなのか処理なのか
★★★★☆
まず挿入されている写真に衝撃を受けた
コラージュ・・・という訳ではないが、ばっさりと切り抜かれていたりする
名画の人物の周りを切り落としてしまう
そんなことしていいのか?・・・というショック
そしてそれがこの著書の持つ臭い
「死」というものをちゃかしている訳ではない
でも、それに翻弄されざるを得ない我々はある意味滑稽で、同時に哀しい
誰もが、そしてどの都市もが直面しなくてはならない「死体」
精神的な重さと哀しみと想い出の美しさと神の国に入る精神性と
そして、それとは相容れない・・・
死臭と腐乱していく死体の処理と
人類はずっとこの相反する中で折り合いをつけてきたのだなと
そんな想いを再確認する一冊でした
死の過去と現在
★★★★☆
「知の再発見」双書の63巻。大量のカラーの図版が美しく、楽しい本になっている一方、ちょっと読みにくい。
Michel Vevelleの『L'heure du grand passage』(1993年)の翻訳。
ヨーロッパとアメリカにおける、古代から現代までの「死の歴史」が概観されている。絵画や彫刻といった図像資料を中心に取り上げながら、人々の考える「死」がどのように規定され、変遷してきたかを、かいつまんで教えてくれる。古代の埋葬法、キリスト教の影響の広がったことによる変化、中世のペストの蔓延によって死への距離感が変わったこと、19世紀のロマンチックな死、現代の不可視化されつつある状況と。良く整理され、わかりやすい。
面白いのは、特に現代の部分だ。死が遠ざけられ、死ぬもの自身が自身の死を知らないような状況すらつくられつつある。しかも、それが古代からの歴史の結果として発生したものなのである。なかなか衝撃的だ。