大好きな短編集です
★★★★★
オトナ社会になんとなく疑問を感じていた10代のころこの本を手にし、わからない部分はあったものの、なんとなしに共感をおぼえ、くりかえし読んでは、遠い海の向こうの国に思いをはせたものでした。
その頃は、マスコミが人々のあたまにイメージを植え付け、ファッションや生活スタイル果ては思想まで支配してしまい、洗脳されステレオタイプ化されてゆく社会に対して、この本の登場人物みたいに、葛藤し反発する新しいエネルギーがうまれてるってことをなーんとなく感じて共感してたんでしょうね。
最近読み返してみましたところ、加えてサリンジャーってポジティブなんだ、という発見がありました。
人間って所詮はひとり、そこは親子であれどわかちあえない領域があるけど、それをお互い理解して自立して調和して生きていこうよ。
と提案してくれてたんでしょうね。
いかにもらしい雰囲気に飲まれる
★★★★☆
サリンジャーらしさというものを追及していたらこの欄では足りないけど、本書にはそれがいかにもサリンジャーらしさが満ちいて、それは満足できるはず。特に会話のテンポ、すっとぼけたようなジャンプ。時代を臭わせる小道具などもしっかししている。バナナフィッシュにコマンチ団かあ。らしいねえ。
映画化して欲しい!
★★★★★
九つ物語がある中でも私の一番のお勧めは「小船のほとりで」です。家出した幼い息子と母親の物語ですが、親子の掛け合いが読んでいてほんとにほほえましい。幼い息子ライオネルのちょっとしたしぐさや表情から、わずかな心の動きまで逃がすまいとする作者の意気込みを感じます。 その他にもおしゃれな物語がたくさん詰まっています。