各分野での散発的な提起で終わっている
★★★☆☆
シリーズの第三巻で、資源環境問題に対処していくためのエンジニアリングとは何であるかを各分野の立場で紹介する内容である。文献調査から、コンピュータシミュレーション、建築土木、化学と対象は広範囲に渡るが、内容はそれぞれ「さわり」にとどまっている。
前書きに「適切な技術知が継承されているのであれば、環境資源問題などの新しい問題に対処する方法を論じるのは有効なことだ」という趣旨の文章があるが、この前提が崩れていることが私の一番の憂慮である。高度に発達して細分化した現在のテクノロジーは、総合的な「視点の確保」と個々の「技術の維持」が非常に問題だ。そういう点で、環境や資源問題という学際的・総合的な課題に対処していく過程で「確保」と「維持」がいかに実現されるべきか、という取り組みについて知りたかったのだが、各分野での散発的な提起で終わっているのは残念だ。本シリーズの意図と、私の希望が合わなかったということだろう。
個人的には須永による「経験のモデリング」という一文に興味を引かれた。経験をエンジニアリングとしてどう組み込んでいくか、という点について実践的・実際的な取り組みを読んでみたかった。