読者としては、技術開発や商品開発におけるノウハウの集積方法、設計事例の水平展開方法、失敗事例の再発防止策方法など、永遠の課題とも言える内容に対しての有益が示唆が得られるかと思ったのだが、残念ながらそう言う本ではなかった。
導入部分では、機加工技術における属人的ノウハウの存在をテーマにしており、やや期待させるものがあった。
しかし次の段階で内容はアカデミックになってしまい、「設計のプロセスとは何か。どう定義されるのか。プロセスのモデリングはどう行われるか」というような「プロセス知の点から」という本書サブテーマに基づく内容となる。
こちらが期待するような内容を生み出すには本書の大部分を占めるプロセス知の視点が必要なことは理解できるが、実践に反映できるような部分がなかったことは残念だった。(ただしCADやCAEの基本原理として学習するには有益かもしれない)
本書はシリーズ本であり巻末に続巻の広告もあったが、どうやらアカデミックな設計論的アプローチからは外れそうもない。