Alf: Season One [DVD] [Import]
価格: ¥1,274
「つまり、E.T.みたいなヤツと思ってくれよ」――『アルフ』のパイロット版エピソードで、地球に不時着した異性人っぽいキャラクターはこう発言する。しかし、皮肉屋の主人公アルフ(Alien Life Form=地球外生命体の略)は、スティーブン・スピルバーグ監督の名作映画に見られたような天文学的スケールのイノセンスから程遠い存在だ。この1980年代後半に放送されたホーム・コメディ番組の面白さは、そこにある。毒気あふれるウィットとペテン師的センスの持ち主、アルフ(本名:ゴードン・シャムウェイ、出身:消滅したメルマック星のローワー・イースト・サイド)。ある夜、乗っていた宇宙船がタナー家のガレージに墜落し、彼は完全無欠の問題児として一家の生活に乱入する。タナー家の人々――家長のウィリー(マックス・ライト)、その妻ケイト(アン・シェディーン)、長女リン(アンドレア・エルスン)、長男ブライアン(ベンジー・グレゴリー)――は、政府機関が研究のためにアルフの体を切り刻むことを心配して、仕方なく彼を引き取る。まるで、つらい目に遭っても気の利いたジョークを忘れない、酔っ払いで道楽者のおじさんを受け入れるようにして。
『アルフ』には少しばかり暗さがあり、そこからいくつかの興味深いエピソードが生まれた。第1シーズンの大半はタナー家とその居候が仲良く珍騒動を繰り広げる話だが、一部のエピソードはより刺々しく、ちょっとしたブラック・コメディの域に達していると言えそうだ。たとえば、第3話「みんな猫が好き(Looking for Lucky)」では、日頃から猫が大好物と公言しているアルフが、ウィリーとケイトから愛猫を食べたのではないかと疑いをかけられる。第4話「アルフより愛をこめて(Pennsylvania 6-5000)」では、アルフがウィリーのハム無線機で大統領専用機と交信したせいで、ウィリーがテロリストの疑いをかけられて逮捕される。ベスト・エピソードのひとつに挙げられる第19話「75年目のこわい夜(Wild Thing)」(後に人気アニメ番組『ザ・シンプソンズ』の共同プロデューサーとなるデビッド・シルバーマンが脚本を担当)はクレイジーなドタバタ喜劇で、アルフが檻に閉じ込めてくれと一家に要求。メルマック星人の体質で、24時間だけ凶暴化するのだという。アルフが逃げた後、町は大騒ぎになる。猫は姿を消すわ、動物園のゴリラは野放しにされるわ、ウィリーはアルフを捜すためパジャマ姿で町をうろつくわ…。なお、ジェリー・スタールの著者『Permanent Midnight: A Memoir』には、ハリウッドの脚本家であるスタールが重度の麻薬中毒に悩まされながら『アルフ』の仕事をこなしていたことが語られている。この本のファンなら、スタールが参加した第1シーズンのシナリオに興味を持つことだろう。特に第25話「我が家のゴキブリ騒動(La Cucaracha)」は注目で、アルフとウィリーが自動車ほどの大きさのゴキブリと戦うという内容だ。(Tom Keogh, Amazon.com)