麻薬の密売人ヴィンセント（イーサン・ホーク）。映画監督のジョン（ロバート・ショーン・レナード）。そして弁護士のエイミー（ユマ・サーマン）。かつて高校の同級生だった3人は、久々に故郷へ戻り、モーテルの一室で10年ぶりに再会することに。そこでヴィンセントは、昔起きた“ある出来事”についてジョンを問い詰めていく。それは、エイミーにも関係することであり、やがて3人はそれぞれの想いを告白していくが……。
 『恋人までの距離（ディスタンス）』や『ウェイキング・ライフ』など、実験精神旺盛な作風で知られるリチャード・リンクレイター監督が、舞台をモーテルの一室に限定してインディペンデント映画風に撮りあげた異色心理ドラマ。デジタル・ビデオ・キャメラによる縦横無尽のキャメラワークとカッティング。3人のキャストそれぞれの演技力あふれるセリフによって紡がれていくドラマ進行はサスペンスに富んでおり、いつしかそれは鋭くも幻惑的な色合いを帯びていく。単に優れた映画であるということ以上に、映画制作に対する意識の自由度まで押し広げさせてくれる作品である。（的田也寸志）