どっちつかずな中途半端な作品になってしまった感じです
★★★☆☆
「ファストフードが世界を食いつくす」という本の映画化ということで
映画への変換の仕方はよかったと思うのですが
脚本等、ちょっと作りが甘いままになってしまっている感じでした
こういう映画はもっと手持ちカメラでドキュメンタリーっぽく撮った方がリアル感が出てよいと思うのだが
なぜか、きちっとした撮影できれいに映画っぽく作ってある
そして、一応、不法移民・ミッキーズの重役・ミッキーズの店員等々、それぞれにストーリーっぽいものがつけられていて
全く別々に進行しつつ交わるという映画「トラフィック」的な体裁を整えているのだが
思ったよりストーリーがからまない、というか、想定範囲内のからみばかりで面白くない
不法移民の劣悪な環境も描き切れてないし
本社から来た調査の人も中途半端に何もなかったことにして終わりだし
グリーンピースを目指す学生たちも牛の脱走計画を失敗して終わり
全てが中途半端なまま
なぜか牛の解体シーンに突入して終わる
特にこの解体シーンは元々のテーマとしてはあまり重要でなかったような気がする
インパクトのためだけに入れたと言われても仕方がない
それよりは
どうせドキュメンタリー風にしないのなら
機械に足を巻き込まれた人の人肉がパテに混じっちゃってもそのまま出荷とか
足がなくなった不法移民を「麻薬やってたあんたが悪い」と、とことん冷たく切り捨てる交渉係の人とか
環境運動の学生が撃ち殺されるが私有地に勝手に入ったので罪に問われないとか
もっと膨らませ方があったと思う
映画としては脚本が面白くないし、ドキュメンタリーとしてはリアルさがない
斜め目線な批判精神や毒ッ気も全くない
結果、どっちつかずな中途半端な作品になってしまった感じです、残念
めちゃ期待してたんですけどね
現実から目を背けてはいけない
★★★★★
ファーストフード、特にハンバーガーのパテがどこでどのようにして作られているのか?ドキュメンタリーではないが、ほぼ事実をベースに作られている。
中身は、ほかの皆様のレビューが詳しく書かれているので、あえて書かかないが、
つきつけられた現実は、日々綺麗な包装、清潔な状態で出てくる食べ物は、誰かが自分たちの代わりに殺したり、加工したりしてくれているということ。
自然の摂理なのだ。至極当然のことながら、ショックだった。
生きる=捕食(もはや人間は、人工的に増やすことができるが)するということなのだ。
生きる本質を見直すきっかけになる映画だと思う。
薄々気がついているが、どういう現場と事情でファーストフードのパテは作られているか、ほぼノンフィクションと言える作品
★★★★☆
いくつかの側面がこの映画にはある。
一つは、メキシコ人の低賃金労働者により、ハンバーガーのパテ製造工場は支えられているということ。不法入国斡旋人の手解きで、コロラドに職を求めるメキシコ人は、メキシコにそのままいれば一ヶ月に3、4ドルという収入レベル。ところが、不法入国し米国で職を得れば一日で10ドルの収入を得られる。一日で一か月分以上の収入を得られる。しかし、そこでは、まさに蟹工船状態の過酷な労働環境が存在する。機械に巻き込まれて、足の半分がなくなる様な事故は日常茶飯事だし、工場監督者と情事を結ぶことで、楽な役回りにまわしてもらえる。ドラッグも横行している。不法移民ゆえ、銀行口座はもてないから、闇送金しようとすると、35%もピンはねされる。それでも、メキシコにいるよりはましということである。工場の衛生環境は悪く、内臓の処理を誤り、パテに牛糞が混入することも特に当たり前である。
次に、牛そのものの劣悪な環境。まるで鶏小屋のように牛は囲いの中に密度高く詰め込まれ、遺伝子組み換え穀物がたっぷりの合成飼料を与えられる。これは、牧場と呼べるものではない。そして、次々に屠殺され、ばらばらに解体されていく。映画はこのシーンも映し出している。
そして、バーガー屋の本社の対応である。パテに牛糞混入の風説を裏付けるべく、社長はマーケティング部長は現地に調査に出されるが、工場の衛生環境責任者(ブルース・ウィリス)は意に介せず、むしろ社長と同じくらい癒着権力を持っていると脅すくらいである。行政もバーガー屋は大口献金主で懐柔されている。高校生たち(なぜかそこにアブリル・ラヴィーンが・・)が牛の囲いを壊して、牛を逃そうとするが、牛は逃げようともしない。知らぬは消費者のみで、儲かる仕組みと見えざる犠牲がそこに存在する。
映画だから、脚色はされていると思う。マクドナルドやモスバーガーはそうではなくて、もう少しはましにやっていると信じたい。しかし、見えないだけかも、とふと思ってしまう。工場の衛生管理によるパテの品質とコマーシャルでのおいしそうなパテのマーケティング戦略はまったく別物であるといつまで記憶していられるか。あれは、食品というよりは、工業製品である。
テーマの視点はいいんだけど・・・
★★☆☆☆
チラシやDVDのパッケージを見て、
僕はてっきり、きっとコーエン監督のふざけた映画みたいな、知的でバカなギャグテイストでやっていくんだろうなと思っていましたが、
全然そうじゃありませんでした。
本当に馬鹿に真面目です。
まずそこで、なんだか非常に広告に騙された気分。
ハンバーガを視点に、『速く、安く』のみを追い求めるアメリカ資本主義を批判する。
本当にテーマの視点はいいんです。
最下位で働くメキシコ人密入国者の悲惨な現状も、確かに凄まじかった。
しかし、やっぱり明らかに演出が酷いです。
色々と詰め込みすぎです。
セリフなんかもかなり削れそうだし、いらないシーンや人物やエピソードも結構ありました。
それにメキシコ人のシーンの演出が、なんだかイニャリトゥ監督を意識しすぎているような感じもするし(メキシコ人っていったらこういう演出やBGMなんでしょうか?)・・・。
あとあのエコでバカな学生たちも、「オメーらも結局なんも出来ないんだよ」に行き着くのには、あまりに長いし、最後も「え、終わり?!」だし。
やっぱりチラシやパッケージ通り、
頭のよい監督が、
企業、学生、牧場、メキシコ人、お客、全部含めて、
アメリカ全部を馬鹿にするようなタッチのほうがよかったんじゃないでしょうか。
とりあえず観て、
「へぇ〜」とか「うわぁ〜」とかなるのは間違いないですが、
映画としてはそれだけで、
「それだったら映画じゃなくて本書けば?」と言いたくなりました。
なんかいろいろ詰め込みすぎで、かつ、なんか足りないという印象を受けると思います。
外食産業のカラクリを勘繰る
★☆☆☆☆
感染パテ(バーガーの肉の部分)を追いながら、
食の安全、環境問題、外国人労働者、
大企業の隠蔽工作を浮き彫りにする。
原作は、『ファストフードが世界を食いつくす』
監督が『スクール・オブ・ロック』のリチャード・リンクレイターだからって
騙されちゃいけない。イイ意味で期待を裏切られる作品。
完全ドキュメンタリーでいけば良かったのにと思えるほどの牛の屠殺シーン。
人間が食物連鎖の頂点を名乗るのならば、
その現場で働いてくれている人々がいるからこそだと感謝しながら観てゆきたい。
瓶に入った薬品の数々、大腸菌混入のバーガー、
低練度の従業員が繰り出す唾入りバーガー、
悪臭が立ちこめる工場の描写はあるものの、
工場周辺のサイドストーリー、人間模様に時間を割きすぎて、
メッセージ性が薄まってしまったのは、もったいない。