脳血管撮影の座右の書
★★★★☆
脳・脊髄領域の血管造影に関する知識を扱った本です。
手技編、解剖編、循環動態編、Interventional Neuroradiology編の4部構成です。
どうしても、『腹部血管造影ハンドブック』(大友邦/河内伸夫)と比較してしまいますが、解剖編以外は、比較的あっさりとした記述です。熱いテクニック指南はそれほど期待できないです。
しかし、解剖編の細かさは特筆すべきで、細かい図にぎっしりと略号が書き込まれた写真や模式図が大量に掲載されています。図を載せて終りということも無く、本文にはちゃんと説明も記載されています。発生や破格についても、一通り書かれています。血管造影では、識別不能な微小な血管についても詳述しています。基本的に、脳・脊髄領域の血管造影時の解剖については、この本でほぼ万全と思われます。
細かい図の血管を1本1本全て追跡しながら通読するのに、317頁/55時間(+精神崩壊)を要しました。読まずに、調べ用に使用している人が多いですが、一度通読しておくことで、全体像がつかめるので、読むのもありだと思います。補強として、『脳・頭頚部血管のNormal Variations』(田之畑一則)も良いです。