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経営革命の構造 (岩波新書)

価格: ¥886
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
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歴史観と経営の人間性 ★★★★★
一橋大学経営大学院の米倉教授の本です。
帯のタイトルは「違うだろう」という気もしますが、売り手としてはベンチャー応援団で有名な米倉さんの本なので、想定される読者層にあてたメッセージなのでしょう。

この本のポイントは、「環境が戦略を決定し、戦略が組織を決定する」ということに尽きます。
環境とはすなわち「我々は今どこにいて、これからどこに行こうとしているのか」という認識に他なりません。

常々思っていることですが、我々が仕事をするにあたって最も重要なのは「歴史観」です。社会がこれからどのような方向に向かうのか、もっと重要なのは、社会をどのような方向に動かしたいのか、という目標の中で、今はどこにいるのか、という認識です。

この本は、冨の追求から植民地を使って生産力の増大を実現し、増大した生産力の市場としての植民地の再定義、さらに産業革命による生産力の爆発的増大と、その市場としての植民地獲得競争の激化、という構図の中で、変わりゆく環境に応じた経営戦略と、戦略を遂行するための組織について語っています。

歴史的な見方というのは必然性が良く見えて理解しやすいと思いますが、反面「後知恵」にもなりやすい傾向があります。言うまでもなく、歴史はヒントにはなりますが、将来を見通すことはできません。

21世紀という新たな時代を迎えて、社会上の必要性と企業、病院などの組織としての目的達成、我々働く者の個人としての目標達成をすべてかなえる組織論は残念ながら発明されていません。
ただ、だからと言って巷で語られている組織論を鵜呑みにするのではなく、苦しくても悩みながらベストの方法を見つける努力を放棄してはいけません。結果よりもこの努力こそが経営者としての人間性の本質であると思います。
産業革命からイノベーション ★★★★☆
社会学として、産業革命の経緯から、イノベーションに関する事例を載せていました。
経営とは個人だ ★★★★★
経営とは個人が大事だということが分る。
人の意思なくして「法人」の意思がないことが理解できました。

会社経営は利益ではないことも分りました。

Going Concernとして、継続するためには、利益が必要ですが、
新しいものを作るときには、利益優先では達成できない。
2つの力をやじろべえのように、ゆらゆら揺れながら、
長期的には均衡を図ることが大事なのだと。
力まずに今後に挑戦する気持ちになりました ★★★★★
第一章ではイギリスの産業革命における秘話に触れた感じが致しました。 知識社会の今、「見える化」の徹底がイノベーション創発を起こすと信じて企業経営をしております。

仙石通泰
勝ち組の試行錯誤の歩み ★★★★☆
 1953年生まれの経営史家が1999年に書いた新書本。他を圧倒するような競争力は、必ずある種の経営革命に伴って生じる。本書では、その経営革命を、技術の社会的性格と企業家の個人的な試行錯誤の重要性という観点から論じる。まず、18世紀イギリスの産業革命において「企業家」が登場し、技術革新への職人の反発や特許権争いを乗り越え、多くの発明を実用化した。その結果、特定工程の生産性の向上により関連工程間の不均衡が生じ、それが相互補完的に発展を促進し合うという好循環が生じた。その後鉄道・電信・電話の発達と共に、19世紀後半の米国では営業費の増大と業務の複雑化に対応して、厳密なコスト計算、購買・販売部門との垂直的統合、規模の経済への志向が生まれる。世紀転換期には経営階層の分化(ミドル、トップ、ロウアー)と複数職能別組織も見られ、それが後に多角化戦略(分権的事業部制組織)にもつながっていく。自動車産業ではフォーディズム=大量生産・大量消費も登場する。しかし米国企業が各事業部のセクショナリズムに悩まされている間に台頭してきたのが日本式経営である。敗戦後の日本は鉄鋼業への資源の一点集中全面展開戦略を採用し、最新の技術革新に裏付けられた新規の大型工場を主としてメインバンクからの借入金を中心に建設し、企業間の激しいシェア競争を展開した。しかしニクソン・ショックと石油危機の後、エネルギー多消費型の鉄鋼業と労働集約的な繊維産業に代わって加工組立型の機械工業が台頭する。とりわけトヨタは多品種少量生産、新製品開発時間の短縮、系列生産により特徴づけられるジャスト・イン・タイム方式を創出し、国際的な名声を博した。しかし1990年代の情報革命と共に、新製品開発速度の一層の加速が計画合理性を無効化し、企業家の試行錯誤を許容するベンチャー・キャピタルを生み出し、シリコンバレー・モデルを成功させた。