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ピアノ・ソナタ (創元推理文庫)

価格: ¥1,188
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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シリーズ中のお宝作品ではないかな ★★★★★
彼女の作品を好む方はたぶん、どこらあたりから読み始めたとしても、なんとか全シリーズを手に入れたいのじゃないかと思います。
かくいう私もそうでした。
幸い、一作目に出会ったのが初対面でした。その後色々さがしてなんとか全部集めて。その次は新刊を待つ日々。
いま、一番新作の翻訳を待っている海外の作家です。

本作を読んで、びっくりするほどにピアノの音色を聞きたくなりました。
私はかつてピアノ弾きだったのですがある事情でそれをやめたのです。だからかも知れませんが、
この『ビル編』の中でピアノを弾くビルのシーンは、自分でも驚くほどにその曲を聴きたくなりました。

『リディア編』でのリデイアは、いつもどちらかと言うとビルに多大な心配事を生み出す事によって、それがミステリーと相まって面白さが増すのですが、
『ビル編』では、リディアは心の底から心配はするし、できる限りの協力はするけど、その本編の物語とはまた違った、過去のビルという者の持つ陰を、どうする事もできない小娘と表現されるんです。
それがおもしろい所だと思いますし、やっぱりビルの背負った過去の暗闇の深さを感じさせずにはおりません。

また、二人共に移民の子供という所も、このシリーズの特異性ではあると思います。
ある意味ではそれが、これがアメリカなのよと言う、作家のメッセージでもあるのかもしれませんが。
移民、チャイナタウン、ベトナム戦争。
あげつらうとなんだか暗いイメージであるはずのモノが、この作家によって小説になると、影を秘めてはいるけどどこか突き抜けたものを。
アメリカという国の中ではおそらく意図的に消さないであろう少しだけ嫌な、フリーダム万歳、と違うコンセプトを。
それは了解しました。でも、まだ詰まっているのよ、だから。
風穴を作りましょうよ、ね。
そんな、メッセージを、感じるのです。
タイトルがいい! ★★★★★
原題の「Concourse」が悪いとは言いませんが、「ピアノ・ソナタ」というタイトルが目を引きますよね。この「ソナタ」は伊達ではなく、本当に主人公の白人中年探偵のビルが弾くシューベルトのピアノソナタから取られています。実際にピアノを弾く場面がそれほど出てくるわけではありませんが、家でグランドピアノに集中するビルの姿が、ちょっとしたことから思い出されます。それくらい印象の強いモチーフです。特にピアノを弾くときのビルの心情は、実際にピアノを弾く者としては非常によくわかります。おそらくビルのごっついがっしりとした手から繰り出されるピアノソナタは、ソフトなタッチで情感にあふれた美しい音楽となっているのでしょう。話のほうは、ちょっとごつめなのですが、このシリーズのビル編のときはいつものこと。同じニューヨークでもリディア編とはテリトリーが違うところも、ファンとしては面白いところです。
もしもピアノがひけたなら ★★★★★
全く知らない作者だったけど、意外な拾い物。ニューヨークが舞台の探偵もの。白人で相棒が中国系の女性でピアノを弾くことで気持ちを解放しているなんていうと、いかにもあざとい感じがするけど、これが結構いいんだな。捜査の進め方や、最後の決着のつけ方など、すごく共感できる。最近はやりの陰惨な殺人狂は出てこないが、実にリーズナブルな?犯罪であり、終らせ方も実にいい。特に猫好きにはぐっと来る。この作品を読むと、楽器ができるのはいいなー、と思えてしまう。もっと他の作品を読んでみたい。