アメリカ生まれのチャイニーズながら、興奮すると文法が怪しくなる主人公のリディア。
だが、それを差し引いてみても、若干翻訳が物足りなかった。
読みはじめでは言い回しにそっけなさを感じたり、硬く感じる部分もあった。
しかしそれもわずかであったのと、登場人物たちの豊かな個性とで、
読むにしたがってほとんど気にならなくなったといえる。
ある部分、事件の展開や真相にハラハラするというよりも、
舞台や登場人物の設定の新鮮さ、好感度で読まされた感がなくもない。
ストーリー的には充分にハードボイルドといえる内容だが、それだけに、
リディアと相棒のビルの会話などのやりとりの場面になると、いつもほっとして和んでしまう。
舞台のチャイナタウンにしても、映画などで度々登場する舞台ではあるが、
そこを軸に展開する物語が目新しかった上に、中国の独特なしきたりや文化が、
同じ東洋人の立場からは理解しやすい面もあるかもしれない。
今後も引き続きシリーズを読んでみようと思う。
ニューヨークの中国マフィアが絡んだ磁器窃盗事件。自分の古巣だけにリディアにもしがらみ等々が絡んできて、スムーズに調査が運びませんが、そこは、ビルとの絶妙なコンビ。最後まで飽きることがありません。特に今回は色々な種類の中国茶や中国料理が登場し、料理好きにもたまらない作品です。私もリディアの好きなお茶の一つ、ジャスミン茶を飲みながら読みました。