歴史ファンも読むに耐えれる良書
★★★★☆
戦国ゲームの画像が表紙に使われているので「どうせライトファンに向けた子供騙しな本だろう」と考えていたのですが、意外にも内容は硬派。多少の誤表記などはご愛嬌で、基本的には歴史群像などの特集本とさほど内容に差異はなく、純粋な歴史ファンも読める本となっています。
特に良いと思える点は、写真を多用していること。
長曾我部については今までいくつかの特集本が出てきましたが、ここまでたくさんの写真(史跡や合戦地など)がカラーで収録されている本はなかなかありません。特に長曾我部の合戦地などは四国という土地柄ファンが気軽に行ける場所ではありませんし、山城ともなると熱心なファンでも訪れた事がない人が多いでしょう。そういう写真が豊富に掲載されている点はとても評価できます。
もう一つ良い点は、スタイリッシュな構成。
いままでの歴史武将本といえばただダラダラと画像を並べたようなやぼったいものが多く、それもモノクロだったりして読む気が失せてしまう人も多かったと思います。しかしこの本はどのページもデザインがかっこいい!まるでダヴィンチやブルータスのような趣味雑誌風の雰囲気なので、若い人でも飽きずに最後まで読めるのではないかと思います。「かっこいい!」という思いもより一層強くなるので一石二鳥。
ただ、ゲームとタイアップしているためか宣伝ページもやや多いです。「アニキ」という表記も多いですし、戦国ゲームや戦国ブームを過剰に、蛇葛のごとく嫌っているような人はイライラするかもしれません。
長曾我部元親は、その存在や四国統一・一領具足の功績は知っていても、四国での戦の展開や具体的な行動を知らないという人がかなり多いと思います。本州や九州に比べていまいち盛り上がらない四国戦国史に足を踏み込むための一冊として、あるいは司馬遼太郎などの長曾我部小説の副読本として最良の一冊ではないでしょうか。