クラシックや現代音楽を学んでいたイルミン・シュミット、ジャッキ・リーヴェツァイト、ミヒャエル・カローリ、ホルガー・シューカイが1968年に結成したジャーマン・プログレ、いまで言うクラウト・ロックの元祖、カン。アメリカ生まれの黒人ヴォーカリスト、マルコム・ムーニー脱退後、日本人ヴォーカリスト、ダモ鈴木を迎え、71年に2枚組としてリリースされた3作目。エレクトロ・サウンドやアコースティック・サウンドが混在する、あまりにも個性的な音楽性は、黒人音楽をルーツとする米英のロックとは明らかに異なるものだった。ジョン・ライドン率いるP.I.L.を経て、現代のトランス・ミュージックにも影響を与えている。（山口智男）