読み応えたっぷり
★★★★★
軽いアメリカ小説に比べ、著者の作品はどっしりとした重量感があり、いつも読み応えを感じる。その中でもこの作品は非常に有名なもので、以前から読んで見たいと思っていたが、期待通りのものであった。2人の交錯する人生模様は壮大なドラマで、最後まで一気に読んでしまった。内容自体には触れないが、どっしりした人生ドラマを読みたい人にお薦めです。
マスターピースです!!
★★★★★
Archerの作品は大好きですが、そのなかでも一押しはやっぱり代表作のこれです。
リーマンショック以降の投資銀行の没落が、この作品で描かれていた世界恐慌時代の景色と重なるなあと思い、再度読み返しました。
kaneとabelお互いのチャプターが韻をふんでいたりと、うまい!と、うなる文章も再発見。
他の方もレビューしていましたが、二人の主人公のどちらに肩入れするかも、この作品ならではの面白みだと思います。
昔の私は、スマートなエリートのkaneに憧れていましたが、今は人間力溢れるabelが素敵だと感じるようになりました。
なお、abelの娘を主人公とした"the prodigal daughter"という続編もお薦めです。
親子二代にわたるS.Wを超える長編大作は、まさにマスターピースというに相応しいかと。
久しぶりに読んだ心に響く小説
★★★★★
お互い地球の反対側で正反対の境遇の中で同じ日に生まれた二人の男の人生が、ドラマ、愛情、戦争、政治、歴史、いろんなジャンルを超えた壮大なスケールで、書かれている。
それぞれ二人が歩む全く違う人生の中で、時代や人間関係でひき起こる壁にぶつかりつつも、確立していく知と富。そして出会うべくして出会う二人が持つ因縁と確執。
ストーリー展開もさながら、常に対称を用いたその書法も、目に浮かぶような精細な描写力もすべてが素晴らしかった。
誤解から広がる二人の因縁が、読んでいてとても煩わしくも、のめり込んで読んでしまう。
余談だが、旧約聖書に出てくるアダムとイブの息子がCainとAbel。聖書の中では、百姓のCainが最初に犯した罪が、羊飼いであったAbelを殺してしまう、というもの。
サガ(一大・絵巻物)の始まり
★★★★★
KANEとABELは、二人まったく違う境遇で育つその始まり部分。両極のようでいて、同じ頃、違うところで同じような運命的なエピソードを積み上げていく、そのストーリーが時代背景や風習で思いもかけない結末になっているところがわくわくする。続編は、違うタイトルで現代へと、移っていく。作者は、テレビで拝見する限り、早口でビジネスに巧妙そうな上、スキャンダラスであまり好感がもてないが、ビジュアルに訴えかける英語は、本当にすばらしいと、感じる。 Also read an 極度なスリラー Tino Georgiou--The Fates.
読者の疲労感まで計算された超大作か
★★★★☆
二人の生涯を記述しているので、550ページの構成となっていて、とにかく長い。
前半は、二人の年少期が交互に記述されておりますが、それぞれにスピード間あふれる内容になっていて、長さをまったく感じさせませんでした。どこか昔読んだ「青春の門」をなんとなく思い出したりしました。しかし中間を過ぎ、主人公の二人が交錯し始めたあたり、流石に物語の長さに疲れてくることもありました。しかし、この適度な疲労感がミソだったのです。このあと主人公が、生まれ故郷に数十年順延ぶりに旅するシーンで、(実際には数日前に読んだのですが、)まるで本当に20年前に体験したかのように、楽しかった思い出、辛かった思い出が頭のなかに甦るのです。ひょっとしたら、疲労感も作者の計算された演出効果だったのかもしれません。