装幀がいまいち
★★★☆☆
人間が無意識にとっている行動を集めたもので、「こういうことあるよね」とさらっと流してしまうようなことから「よくこんなものまで拾ってきたな」と思うような些細なことまで日に様々なシチュエーションを網羅している。事例集としてはとても良いものだと思う。
ただし書籍全体としてみたときに、どうしても写真が多くなってしまう構成を考えると、もう少し写真がきれいに見えるつくりにしてもよかったのではと思う。文字とのバランスもあまりいいとは思えなかったし、文庫サイズではなくて大判の雑誌っぽいつくりにしてもいいかもしれない。
文字量はそれほど多くなく、慣れた人なら店頭での立ち読みでもすぐ読み終えてしまうくらいのボリュームなので、さらに買って手元に置いておきたいと思えるような付加価値を見いだせなかったことが残念。
考えなしの行動?を深読みすると
★★★★★
著者はデザインを発想するためのものとして本書を書いているようだが、デザインの前提には人間がいて、その行動を観察することで発想が生まれる(だから、「名詞ではなく動詞」をデザインするとなる)という考えはどの職業にも当てはまることではないだろうか? 何気ない風景、無意識の行動のように見えて実はそれぞれに考えがあって成立しているはずで、それは観察することによって読み取れると、少なくともまえがきの中のホームズはそう考えているようだ。そして読み取った後、それをデザインに活かすも殺人事件の解決に活かすも本人次第。
書店でこの本を手にとった人は、そのあまりにもありふれた風景の写真を見てすぐ戻すかもしれない。ただ、できればそこでもう一度本を手にとって欲しい。そんな人のために書かれた本なのだから。
世の中のふとした光景に対する見方が変わった
★★★★☆
日常のふとした光景を写した写真にコメントがついたものが
たくさん載っている写真集のようなもの。
問いかけだけで答えは載っていない。
これだけのイメージの量を見てみると、自分で身の回りで
見たものについて、この本に載っているような問いかけを
思いつくようになってきた。
発想が豊かになったとはまだまだ思わないけど、
考える行為を始めるきっかけになったと思う。
何か具体的な答えを出すことよりも、
考えるという行為の方がメインだけれども。
新アイデアの ネタとして
★☆☆☆☆
手に持っている荷物を口で咥えて、両手を開けてみたり。
日常の何気ない行動に焦点を当て、設計当初の目的から外れて、
別の用途に使われている、そんな出来事を取り上げた本書。
デザインの答まで書いていないので、読み手が頑張れば
新しいアイデア発想や、サービス構築の切っ掛け程度にはなるだろう。
森博嗣の翻訳じゃなくても読むべき
★★★★☆
森博嗣が翻訳するということで、どんな本だろうと思ったら、デザインの本だった。デザインにはあまり興味がなかったけど、日常の何気ない一こまを写した写真が、こんなに示唆に富むものだとは。
日ごろ、いかにものを見ていないか、そして考えていないか、よくわかる。
森博嗣のまえがき(訳者のまえがきというのも面白いが)は、着眼と発想の大事さを教えてくれる。
デザインだけでなく、アイデアを生むのは、まさにそれが重要なんだ。
著者のあとがきも実例を交えて、その重要性を強調している。人間の無意識的な行動って新しいアイデアの宝庫なんだ。