この手紙を送られた女性は、どこまで言葉の意味を汲み取れたか・・とにかく例がないほど、深い。よほど、勉強し、もがいた人でないと、意味すらよくわからないかもしれない。実践となると、なおさらだろう。しかし、クリシュナムルティは、キリストと、仏陀の思想をつなぐ稀有の存在であり、読み込むほど、天国と地獄の意味もわかってくる。彼は、そのことに触れてないが、死後、そういうものがあるかもしれないと、いまの現実から感じ取るには、精神を鈍らせずに生きることが必要なのだろう。間違いなく、何百年、何千年に1人の存在。恐らく、彼のすごさがわかるには、一生涯を貫くような求道心が必要だろうが。

この本はクリシュナムルティが心身ともに傷ついた若い女性に宛てた手紙です。６０ページほどの小冊子ですが、ありきたりの慰めや励ましの手紙ではありません。地球を賛美し、生の身近な問題から自由であることの大切さを丁寧に語っています。そして、「人生は不思議なものです。無である人は幸いなるかな！」と繰り返されるこの言葉に気持ちが軽くなってきます。
クリシュナムルティの言葉の奥に秘められた優しさがしみじみと伝わってくる一冊です。