読みやすい
★★★★☆
クリシュナムルティの本としては、わりと読みやすく、
分かりやすい本です。
すばらしいの一言
★★★★★
とても、テンポがよく、ぐいぐい引き込まれながら拝読いたしました。
クリシュナムルティ氏が語りかけているようで、訳文とは感じさせないすばらしい言葉の数々です。
クリシュナムルティ氏は「真実の教育とは何を考えるのか?ではなくて、どのように考るかを学ぶこと」といっています。その意味で話の内容が、具体的、直接的なハウツーではありません。読み終わって「結局どうすればいいの?」って感じる方もおられるかもしれないです。
しかし人間として最も大切なことを、何度も何度も繰り返し語っていただいています。言葉では表現できませんが、読後のさわやかな衝撃は、K氏からの愛をとても感じているからだと思います。
残念な点は、訳者が、あとがきのところで、カスタマーレビューに対してかなり厳しい口調
で9ページにわたって延々と反論されている点です。この部分は訳者のある意味「恐れ」の表現、「怒り=安全への心理的欲求」なのかと感じています。私のような普通の読者にとっては余り関心のないことなので、訳者の熱意はとても感じますが、少し度が過ぎるような気がしました。クリシュナムルティ氏の功績はカスタマーレビューの意見などでは揺るがないものだと私は確信しています。
とにかくすばらしい!絶対おすすめの1冊です。
精神的に苦しむ人にトピックごとに“世界教師”が与える素晴らしい助言
★★★★★
アメリカで著者の死後に、その講話や著書からトピックごとに抜粋、編集された本What are you doing with your life?の全訳です。その出典のかなりの部分が日本で未訳のThe collected works of J. Krishamurtiからです。訳者によれば、抜粋なため、ある程度著者の本になじみのある読者向けで、出典の著作は抜粋より全部をお読みになるほうがいいと勧めていますが、原典が大著なもの、日本語訳のないものもありますので、原典の紹介としても意味があると思われます。トピックはやきもち、退屈、恐怖など多岐にわたり、それぞれ10ページずつで、相互につながりはありませんので、自分のその時の必要(気分)に応じて読むことができます。内容の完全な理解は難しいかもしれませんが、著者が、苦しむ人の心情を理解し、与える助言には、救われる人は多いと思われます。世界教師とも言われる著者は宗教や国家というものに否定的でユニークな思想です(“国旗と呼ばれるボロキレ”などと語ります)。あるがままの現実を直視することが繰り返し語られます。たとえば、“精神はたえず確実さ、安全を求める欲望があります。永続的な安全のようなものは、いつでも、どのレベルでも、誰に関してもありません。安全は存在しないという事実を悟り、何かすがりつくものを探すのをやめましょう。”あるいは、“もし悲しければ、悲しいままでいなさい。そこかれ逃げようとしないように。悲しみを否定しないように、それを抑圧しないように、それに打ち勝とうとしないように、そうではなくて、それを理解し、そのあるがままを見るのです。悲しみを理解することによって、それからの自由が生まれるのです。”同じ姿勢が、寂しさ、欲望、憎悪、ねたみなどにおいても語られ、逃避や自己防衛は問題の解決にならないとしています。これはフロイトに近い発想であると思われます。また、他の部分では、“セルフ、私、とは記憶の束であってそれ以上のものではありません。私とは別の霊的実態は存在しません。”と述べていますが、この自我(自己)の否定は、仏教的で無我や空の思想に共通するものがあります。執着、所有欲に対する否定も仏教的ではあります。
一つ一つの主題がいい
★★★★★
お話がテーマごとに編集されています。とても透明感があります。洞察をとおしての光でいろいろなものがクリアに見えていくことを感じます。愛調和の中でいのちのきらめきを体現するためにはくもらせるものがなくならないといけないですね。自分勝手なイメージを持っていては核心を取り違えてしまうのでしょう。思考されたものやイメージが常に古いものであることに納得です。こころのなかがイメージに染まってしまえばかぎられた目でしかみえなくなってしもうのですね。
大野先生の名調子で訳されています。
最後の訳者のあとがきの中で「観察者と観察されるもの」についてのわかりやすい解説があります。ほかのかたも書いているとおりですね。ただ後半からささいな意見の違いからか訳者さんの語調ががらりと変わってしまいます。ことなった意見の人をつぎつぎと論破していきます。読んでいて気分が悪くなりました。それはそれとして何が正当とされているかということは大野先生のお話でよくわかりました。しかし最後のところを読むのは試練。それ以外は星100個です。
ところが解説の中の観察者の説明って結局、記憶の中の自動反応、思考の運動を用いていますので、クリシュナムルティがいおうとしたところとは違うことなのだと気づきを得ました。解説者は体験を自分の言葉として語らないので「??」だとは思いましたがこういった仕掛けなのですね。また自分の教えに解説本などは不要とクリシュナムルティはつねづねいっていたそうです。解説を加えているつもりが、違うこといってしまう可能性があるということがこの本でわかりました。
星100個。珠玉の解説!絶対おすすめ!
★★★★★
分かりにくいと言われるクリシュナムルティですが
(私もそのように思っていましたが)大野氏の
何が何でも、読者にクリシュナムルティの教えを
理解させようという気迫を感じる解説があとがき
にあります。
クリシュナムルティが指摘する、
「思考者」と「思考」の一致、
「経験者」と「経験」の一致、
「観察者」と「観察」の一致
の意味が今まで、理解できなかった方におすすめします。
P300-P307 は、まさに「珠玉」の解説と言っても言い過ぎ
ではないと思います。
私はクリシュナムルティの著作、「自由とは何か」大野純一氏訳
に出会ってから、早10年。この間、クリシュナムルティ関係の
訳書はほとんど読んだが、恐らく、教えの中核をなす
『「思考者」と「思考」の一致』の意味が分からなかったので、
この解説を読んだ時は、感慨深いものがありました。
クリシュナムルティを全く知らない人に、どれか1冊を薦めると
すれば、私は、迷わずこの本を薦めます。
個人的な希望として、大野純一氏の編訳の"片隅からの自由"
のような、クリシュナムティ関連の大野龍一氏の著作、
またはブログが出来れば、是非、読んでみたいです。