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金田一耕助の帰還―傑作推理小説 (光文社文庫)

価格: ¥680
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
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女たち ★★★☆☆
 本書と『金田一耕助の新冒険』は短編集だが、のちに長編に改稿されたものばかりが集められている。これまで単行本・文庫に収録されなかったものが多く、貴重なアンソロジーとなっている。
 『帰還』に収められているのは、「毒の矢」「トランプ台上の首」「貸しボート十三号」「支那扇の女」「壺の中の女」「渦の中の女」「扉の中の女」「迷路荘の怪人」の8篇。
 率直な感想としては、物足りないものが多い。トリックも雰囲気ももうひとつ。紙数の関係か、解決のあっさりしすぎているのにも不満が残る。
 やはり、横溝は長編だなと思った。
日本語の美しさ ★★★★☆
生誕100年記念で出版されたのだが、久しぶりに横溝正史を読んだ。
横溝正史の改稿癖は有名で、同じネタを何度も何度も改訂して短編を長編にしたりしている。
その原型とも言うべき短編集なので、すべて既読なのだがそれでもなお面白い。
一度だけちょっと投げやりな印象を持った短編集(名前忘れた)を読んだことがあるが、それ以外は横溝正史には本当にハズレがない。実に誠実に作品を書き上げてる。ものすごい人だと思う。
CATCH&RELEASEがはっきりしてるので、ぼんやり読んでいると何の変哲もない読み物なのだが、平易な文章で心情の機微を表現し、場景の描写も微細、煽りを入れ理屈を通し腑に落とすサービス精神は並々ならない。
本当に偉大だ。
この人が生きた国に生まれてよかったと心から思う。翻訳されて読みたくない、日本語の美しさだ。

長編化前の原型 ★★★☆☆
日本の作家は割に短編で使ったプロットそのまま長編(または中編)にします。
横溝正史はこの手法が多かった作家で結構な数の作品がそのまま引き延ばされています。

この本に収められた原型の作品を正典と比較すると短編はエッセンスだけあってかなり書き込みが浅い。
また、枚数の都合かかなり端折っている部分も多くこの辺が正史が新たなる創作意欲を湧かせたのでしょう

圧巻は短編から中編→長編と肉付け作業を2回行った2作品
「渦の中の女」と「迷路荘の怪人」でしょう。
それぞれ長編は「白と黒」「迷路荘の惨劇」と改題されていますが
比較すれば正史が如何に苦心しているかがわかります

マニアの為の一冊 ★★★☆☆
LPがCD化された際に時おり追加されるalt.takeというものがあるが、概して出来はよくない。基本的に音あわせといった要素が強いものだからだ。しかしファンともなると、仮に失敗したものであろうとも、すべてを鑑賞したいというのが心情である。本書は巨匠横溝正史のそんなalt.takeとでもいうべき、改稿前のヴァージョンを収録したマニア必見の一冊である。

収録された作品群は社会派の勃興期に発表されたもので、正直にいって出来はよくない。特に「蔵の中」や「靨」など横正の最高傑作と比べれば格段に見劣りすることは否定できず、仮にすばらしい探偵小説を読もうと本書を紐解くならば失望すること必死である。だがすでに「毒の矢」や『迷路荘の惨劇』などを読んだファンならば、骨格が剥き出しとなった本書を読むことで、横正の作法といったものを感得しうるかもしれない。しかしそれ以上に、一編でも多く横正作品を読みたいという飢餓を癒すのが実は本書の一番の効能であろう。かくいう私も本書と『金田一耕助の新冒険』で大いに溜飲をさげた一人なのである。