これって、ほんとに「アセンション」なのか?
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アセンションのスタジオ録音盤を聴いている人は多いでしょう。2枚とも「アセンション」とクレジットされてますが、コルトレーン以外は通常のモダンジャズを演奏しており、CDには(別名「ブルー・ヴァルス」)と表記されており、全体の雰囲気はコルトレーンだけ「ブヒ・バヒ」しているだけです。スタジオ録音でもマッコイ・タイナーやジミー・ギャリソンはソロになった時にごく普通の演奏をしているので、「アセンション」のライブ盤というのは、言い過ぎでしょう。
なお、音質は「疑似ステレオ」で放送局録音でかなり良いです。また、「アセンション」という表記を除けば、名演奏である事に変わりないので、無論満点です。
インパルス正規版を超えてます!
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アセンションが曲だったとは、それもライブ演奏されていて驚きです。
オリジナルのアルバムの方は正直難解すぎてあまり聴いていませんでしたが、今回のCDはライブで長尺も1/3と1/2の時間、演奏もかなり熱く盛り上がり聴く側の集中も最後まで持ちます。
今回の2枚組みCDとアセンションCD1枚、足して2+1=5くらいになった感覚でオリジナルもよみがえりました。
さて、中身の方はコルトレーンの情緒あふれるプレイ、評論家相倉久人氏の表現を借りるなら音階をまさぐる様に引っかき回すコルトレーン奏法、共に全開で繰りひろげます、もちろんマッコイやジミーやエルビンも負けていません。ベースのジミーでしょうか?スキャットの様な唸りバリバリで思わずニヤッとしてしまいます。
アセンションの曲自体もテーマとソロリレーが解りやすく、こうした曲想だったのかと聴く側の感度を上げれば、原曲のアセンションにも向かっていけると思います。
コルトレーンファンにお勧めの、それもオリジナルを持ってるなら必須アルバムです、コルトレーン初心者には早い気がしますが、これを逃したら入手困難になりそうなので本気の人は買ってしまったほうが良いかも。
あと少し付け加えると、ビレッジバンガードライブの頃のコルトレーンは演奏の先にある何かに向かって、重機関車の様に突き進むカッコよさ(僕の大好きなコルトレーン)から、聖なる頂に上り詰めた彼が発する音に情念が入り始め(唸り声はここではない)ある種の覚悟が必要です。
僕はこのCDを聴きながら、聖なる頂の天辺で何かをやってるだろうコルトレーンの姿を下から見上げながら、興味深く観察しています。
最高のライヴ、最高の音質!
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今まで入手大困難だった晩年の最高のライヴが最高の音質で蘇りました。私のコルトレーン・コレクションもこれを持ってほぼ終了しました。今は一段落した満足感と脱力感が同居しています。特にDISC1が貴重です。ANTIBESで生涯に一度の「至上の愛」のライヴをやってあまりお客さんに受けなかった翌日、同じ場所で普通のレパートリーでやったライヴです。普通と言ってもただで起きないのがコルトレーン(懲りないレーンか?)。なんと今度はアセンションをライヴでやった。これが素晴らしい。スタジオ録音のあの目茶苦茶の演奏と異なり、聞きやすい普通のジャズです。特にコルトレーンか抜けて、マッコイのピアノトリオになった時のエルビンのドラムのかっこよさは聞いてもらわないとわからない。DISC2はさらに次の日のパリライヴで、これはあちこちのブートレグで入手可能ですが、今回のは音が格段に良いので今までのものは捨てて良い。まさかこんなすごいCDが発売されるとは夢にも思っていなかった。ジャケットもライナーノートも愛情たっぷり。まるでIMPULSEからの公式盤だ。感謝あるのみ。