ジョン・コルトレーンとエリック・ドルフィーがレコーディングで一緒になったのは、1961年5月の『アフリカ・ブラス』セッションが最初。そのあと62年にかけて2人は行動を共にし、欧州公演でも共演した。独自の道を歩んだ2人の天才の軌跡が交差したのが61年。そして本作に聴かれる同年11月のヴィレッジ・ヴァンガード・セッションは、そのハイライトだった。全22トラックを収録した4枚組のボックスセット。本作で初めて登場した未発表トラックも3曲含まれている。コルトレーンはテナーとソプラノ、ドルフィーはバスクラとアルトを曲によって使い分けているが、互いを意識した壮絶なプレイはただただ圧倒的。この時期、コルトレーンはインドや中近東の音楽に関心を示していた。アーメッド・アブダル・マリクが冒頭の曲でウードを弾いているのは、まさにその反映といっていい。4日間の演奏を収録しているので曲は重複しているが、演奏はそれぞれ違う。あまりの過激さゆえ、当時一部の人々から酷評された演奏だが、いまやこれらは堂々たるジャズの古典だ。(市川正二)
一家にワンボックスセット必携です
★★★★★
このVillage Vanguard ’61のライブの4枚組みボックスセットは、かなりの部分がLP,CDで既発されているのだが、やはり4日間を通じてコンプリートに聴くと異なった感慨を持つ。
皆さん仰るとうり、Eric Dolphyの過激なプレイの全貌がこれで聞くことができるからだ。
このクインテット編成(基本的にはコルトレーン、ドルフィー、タイナー、ギャリソン、エルヴィン)
で、マイルスのクインテット(マイルス、ショーター、ハンコック、カーター、ウイリアムズ)のように3〜4年継続して欲しかったと思う。何故短期間でドルフィーが去り(結局ドルフィーはヨーロッパに渡り孤独な作業の後、ベルリンで客死している)ここに聴かれる濃密な演奏をより深めていかなかったのだろうか? コルトレーンはそれを望まなかったのだろうか?
何か事情があったのだろうか。
このフォーマットで長期的に続ければ、ものすごいことになっていたのじゃないかと想像する。
そうすれば、ドルフィーとコルトレーンの運命(61年以降の音楽)にも違う様相があったかもしれないと思ってしまう。
あるいはこんな演奏を続けていたら体が持たないぜ、などと思った? コルトレーンはそんなことを考える人ではないと思うが。
この4枚組みはもはやジャズのライブ演奏のLegacyになっている。
ボックスの作り,装丁、リーフレット、アートワークも素晴らしくジャズファンなら是非手元に置きたい作品だ。
Listen to the music of Coltrane and Dolphy.
やっぱりコルトレーンだね!
★★★★★
コルトレーンの個性(カチッとした堅い音そしてシーツオブサウンド)ジャイアント・ステップスを、ひとつの到達点とするなら、そこから路線を変え、濁った汚い音を濁流のごとく吐き出すプレイに変質していく、まさにライブならでわのドキュメントです。
しだいに長時間化するソロプレイは、他のフリージャズと一線を画し、コルトレーンが聖なる頂(聖なる巨人への道)を目指そうとする彼のエネルギーが全開で繰り出される、正にその瞬間の演奏がここに在ります。
共演者が(浮遊する天才)や(プカプッパ)や(ゲロゲロ嘔吐)でなくて良かった。
コルトレーンの速さに対抗できるドルフィーの疾走感が互を触発吸収して、前進するスピードと熱気が渦巻いていて、異音濁音まじりだけどカッコイイコルトレーン重機関車がここに存在しています。
必須のコレクション
★★★★★
かなりの部分をLPでも所有しているが、重複があってもこのCDを買って良かったと思っている。全曲をとおして聴いてあらためてコルトレーンとドルフィーの凄さを思い知ったからである。トレーンがあくまでメインでありながら、ドルフィーに触発されている様が手に取るようでスリリングだ。それに、中身もさることながら、ボックス・ケース・ブックレットのデザインも非常に秀逸。必須のコレクションだ。
やっぱドルフィーすげえ
★★★★★
既に古典となった感のあるコルトレーンの「ヴレッジヴァンガード」の完全版です。
旧盤から主に補完されているのは、当時の競演者で若き天才エリック・ドルフィーの火の出るようなプレイです。
正直こんなにカットされてたんだと思うと、若干の憤りも(笑)。
ライヴ中にガンガンドルフィーの影響を受けていくトレーンの貪欲さが、ドキュメントされている点も、旧盤にはないききもの。
晩年は、必死でアルバート・アイラーをコピーしていたというし、トレーンって孤高のイメージがありますけど、
新しい音楽を常に取り入れようと努力していたように思います。
ちなみにこのライヴでは、ウードの導入など後のトレーンの定番、中近東風味が登場してきます。
Eric Dolphyが素晴らしい!
★★★★★
世評の高い1961年ColtraneのVanguardのライブ音源の集大成盤である。ここに収められた演奏のテンションは強烈であり,リーダー以下メンバーも完璧に近い演奏を展開している。これぞ熱いジャズの典型であるが,本盤で最も注目に値するのはEric Dolphyの演奏である。従来盤ではソロをカットされるという憂き目にあったDolphyの演奏が完全に収められていることが誠に喜ばしい限りであり,ここでのDolphyのソロの魅力はColtraneを凌駕していると言っても過言ではない出来を示している。録音も生々しく,目の前でTraneとDolphyが動き回るようである。素晴らしい。Traneのファンは勿論,Dolphyのファンこそが座右に置きたい圧倒的名ライブ作。