安楽椅子探偵もの
★★★★☆
デクスターの8作目であるこの作品は、ジョセフィン・テイの『時の娘』を模した設定で、病気で入院したモース警部がたいくつしのぎに19世紀の殺人事件についての本を読み、その真相を明らかにしようとするというストーリーです。この19世紀の殺人事件が実際に起きたものなのかどうかは寡聞にして知りません。
モースが読んだ本は同じ病院に入院していた素人郷土史家が自費出版したのですが、いまひとつ面白い読み物ではありません(笑)。まるでモースが謎解きのきっかけにする為だけに存在するような本で、書いた意図が謎です。そんな不自然さはあるのですが、モース警部のいつも通りの上品なんだか下品なんだかよくわからない言動に振り回されているうちに、意外な結末に至る快感は十分に味わえます。