どうなのか
★★★☆☆
著者は理系と文系の間で植物学を研究している人物。世界各地の植物を巡り歩いたりしており、植物民俗学に関する著作も多い。
本書は、日本の民俗風習に用いられる植物について紹介したもの。春の七草の起源をたどったり、門松の意味を解説したり、日本の紅葉について欧米や中国と比較してみたり。
すでに広く知られた知識を紹介している章と、著者自身の研究を論述している章とに分かれるのだが、前者はなかなか面白くてわかりやすい。しかし、後者がちょっと…。非常に鋭い指摘もいくつかあるのだが、全体として証拠不自由分で納得できない。また文章と構成にきわめて難ありで、意味が理解できない箇所が少なくない。興味深いアイデアが垣間見られるだけに残念だ。