たまたま私の周りにたまたま優秀な人で、かつWest Pointの出身者が数名いたことが契機で本書を手にとったが、非常に有意義だった。印象的だったのは、細部にわたる記憶を怠らないこと（少しの記憶の違いが戦場では命取りになること）と、自分はうそをついてはいけないが、うそをついた人にも人間としての敬意をもちながら接触し続けること（でないと戦争は終わらない？）、集団の中において皆がすごしやすい環境（ルール）を絶えずつくり続けること（リーダー）、ポジションよりも、自分に対する尊厳を重んじること（自分のIdentityについての妥協は、自分を破壊へと導く）、です。戦場という究極の場面を想定したリーダーシップ教育が何か、を疑似体験することができた。

自己への厳しさ、他人への寛容、より高い価値の受容、組織や自己への客観眼（徹底的批判眼）など、徳や倫理といった人間科学が組織のリーダーシップに不可欠　（以上「解説」から引用）であることを実際の具体的なエピソードをもとに解説している。組織の一員として個性をなくすことが、個人と組織を強めていく。読みながら、こうやって強いアメリカは再生産されていくんだな、と感じた。