ただ惜しむらくは、パピーロス文書や碑文などから知られているファラオたちの「興味深い」史話が、ほとんど載せられていないのは遺憾の限り。たとえば、ペピ2世が夜な夜な王宮を忍び出ては、恋人の将軍の屋敷に通って男色関係を結んでいたこと等々、こういった「面白い」エピソードが読者層をいっそう拡げるということ位、ものを書く人間なら弁えていて欲しいナ、と感じました。また、例の如く監修者は名前を列ねているだけで、訳文には目を通すこともしていないようですが、本書に限りかえってそのほうが良かったと言えましょう。