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首無の如き祟るもの (講談社文庫)

価格: ¥961
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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謎解きフェチのための専門図書 ★★★☆☆
 読者を選ぶ作品です。解説の柄刀一などは大絶賛です。でも、密室殺人のトリックや容疑者の犯行時間とアリバイとかに夢中になれる謎解きフェチの人でないと楽しめません。更に、横溝正史ラブ、江戸川乱歩ラブの人なら大満足でしょう。地名や人名にそういう香りがぷんぷんします。
 殺人や死体解体についての物理的なリアリティーより、密室性の穴とか首無し死体は本当は誰?とかの謎解きが好きな人向けです。
 私のような一般読者にすると、変な構造の建物の説明とか、三重四重の密室とか書かれた段階でげんなりしました。すみません、間違ったお店に入っちゃいました…みたいな。終盤、疑問点を20以上整理されたところでは、無視して読むスピードを加速させました。
 トリック好き以外の皆さん、私のようにうかつに足を踏み入れてはなりません。通の人、上級者のための専門図書です。
二転三転。 ★★★☆☆
買ってから読み終えるまでにやや時間を費やしてしまった。途中で読まずに置きっぱなしにしてしまったからだ。理由は、真ん中のあたりがだらだらと長く感じられたから。もう少し短くても物語は成り立つのでは…?と思ってしまったのだが、最後まで読み終えるとやはり必要な描写だったのだと気づかされた。

このシリーズはまだ2作しか読んだことがないのでわからないのだが、いつもこのように最後の最後でばたばたと二転三転になるのだろうか。それと、物語としては確かに面白かったのだが、最後の部分を余韻としてしまったところが、いい雰囲気であり、しかし、その後の顛末をもっと読みたいようなもどかしさも覚える。

内容については他のレビュアーの方が書いておられるので、感想のみ書いた。解説は柄刀一先生だが、解説の最初に編集部の注意があるように、「解説を読むのは絶対に物語を読み終えてから」をお勧めする。
ジャケ買い ★★★★★
 内容知らずに買った久々のヒットだった。

 やっぱりこういう雰囲気の物語は昭和20から30年代くらいが良く似合うように思える。
近年の推理小説では凝った面白さがあるが、反面読み難さも感じた作品 ★★★☆☆
旧家の確執、伝説的な怪奇ものの挿入、本格推理と盛り沢山で、近年の推理小説では凝った面白い作品ということは間違いないのすが、文書の構成、特に、幕間が結構頻繁な挿入(整理はしてくれているのですが急に語り手の客観的な意見が入り)は、読んでいて話の腰が折られている気がしました。また謎解き役の刀城の登場も突飛で小説としては少々魅力に欠けたキャラクターの感じも拭えなかった。
《刀城言耶》シリーズの第三長編 ★★★★★

ミステリではお馴染みの〈顔の無い屍体〉
トリックの巧緻なアレンジが秀逸な本作。


跡取りとなる男子を祟りから護るため、その姉妹を身代わりにするという、男尊
女卑的な因習に支配された旧家を背景に、次々と首なし殺人事件が起こります。

跡取りの周囲には、不審な死を遂げた二卵性双生児の妹や、その事件の後に行方不明となった娘の使用人、
そして、跡取りと交流のあった男装の推理作家など、思わせぶりな属性を持つ人々が配されており、作者は、
それらの登場人物を操作し、幾重にもトリックを掛け合わすことで、過去に多くの作例がある〈顔の無い屍体〉
テーマに画期的なアプローチを行うだけでなく、真相を導き出す、スマートな手筋の構築まで実現しています。


また、本作の大部分は、事件が起きた村に住んでいた作家が、時を経て
当時を回想し、雑誌に連載した小説という体裁の作中作となっています。

この趣向には、本作の真相にかかわる、メタフィクション的トリックが仕掛け
られていて、それを読み解くためには、巻頭の刀城言耶による「編者の記」、
そして、巻末の新聞記事と、雑誌の目次といった「外枠」の部分に注目する
必要があります。


本作の結末は、一見ホラー的幕切れのようなのですが、作者は自作解題で〈『首無』
の結末に関して色々な解釈があるようですが、真相は一つです〉とコメントしており、
合理的解決が「正解」だと示唆しているように思われます。


よって、やはり、作者が「外枠」の部分に託した
メッセージを読み取ることは必須といえましょう。
(特に、雑誌の目次の「×××発表」に要注目)