我々の宇宙はどうやってできたか
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超ヒモ理論とインテリジェントデザインの幻想、ときたら興味をそそられるが、内容について行けるものか心配だった。けれども、英語はわかりやすく、そう、英検準1級の単語レベルくらいか。内容もわかりやすく、陽子・中性子・電子・光子・量子力学などの言葉に違和感がなければ、高校3年から大学1-2年生の教養物理くらいの内容だ。
数式や難しい図表はない。量子力学・波動性と粒子性・クォーク・弱い力・ファインマンダイヤグラム・QCD・QEDなど、言葉だけで説明している。
副題のインテリジェントデザインは、聖書が全て正しいと信じている「がちがち」の人たちの言っていることを指しているのではない。最先端の物理学の知見から、megaverse(universeではない)の中で我々の宇宙だけが奇跡的に知的生命の存在を可能にした、と思えるほど、物理定数の微妙さがわかってきた、という。まるでなにかが微妙に設計したこの宇宙で我々の存在が可能になった、という考え方。古代人が美しい景色を見て、この調和のとれた世界は神様が創ったものに違いない、というのと同じレベルのことだ。もちろん、著者はこの見解には与していない。Cosmic Landscapeの中に無数の宇宙があり、その中で我々の存在するサブ宇宙があるのだ、ということを言っているのだろうと思う。
Cosmic Landscapeという言葉にはまだ適訳がなさそうで、物理の先生方はLandscapeをそのまま使っているようだ。