なぜ愚か者は恋に落ちるのだろう? なぜ男性の年収は、平均してその人の身長1インチについて600ドルずつ増えていくのだろう? 麻薬のディーラーがライバルを銃で撃ち殺すとき、どうして10ドル札のアレクサンダー・ハミルトンのような顔になるのだろう? 、人間の心の窓として、視覚的な錯覚はどのように作用しているのだろう? 陽気で得意げな、そして時に突飛なマサチューセッツ工科大学の心理学者、スティーヴン・ピンカーが、これらをはじめとする質問にそのすばらしく愉快で、非常にためになる現代脳科学の研究をもって答えている。ピンカーは、ダーウィン理論と抜け目のないコンピュータープログラムこそが、我々自身を理解するためのキーであると説いている。しかし彼は同時に「スター・トレック」、「スター・ウォーズ」、「ザ・ファー・サイド」、歴史、文学、W・C・フィールズ、モーツァルト、マリリン・モンロー、超現実主義、実験心理学、血に飢えたムーレイ・イスマイル王とその888人の子どもたちといったものからの引例も適宜差し挟んでいる。もし本書がロック・ショーであったなら、そのチケットは100ドルでも安いくらいである。この本は、ベストセラーリストの1位の座にふさわしい1冊である。本書は、ダニエル・C・デネットの『Darwin's Dangerous Idea: Evolution and the Meanings of Life』、ロバート・ライトの『The Moral Animal: Why We Are the Way We Are: The New Science of Evolutionary Psychology』といった古典と共にロングセラー商品となるものである。ピンカーの衝撃的な考えは、マジック・アイの3Dステレオグラムポスターの中に隠された絵のように、わかりやすく書かれた文体から突如として浮かびあがってくるのだ。(Amazon.com)