バランスがとれたタイヤ科学の入門書
★★★★★
94年の初版本に新しい情報を加えた改訂版となっています。
タイヤの種類、サイズから構成材料の基礎知識の解説から、タイヤの基本特性(走る、
操縦安定性)とその発現メカニズムが難解な物理式を使わずに説明されています。
また、タイヤの特性だけではなく、製造と設備に関しても章を割いて解説と将来の
方向性が示してありますので、タイヤに興味を持った方には、工程でどのようにして
タイヤが出来上がってくるのかということをイメージできると思います。
終章には2000年代の最近の開発の話題が概説されていて、これも一般の方には
見えにくいタイヤ技術開発の一端(ランフラットタイヤ、シリカの活用、新成型
システム)を垣間見ることができ、良書となっています。
本書は、種々のゴム特性にも言及しながら特に材料面(シリカ、シランカップリング)
からも解説されていることが他のタイヤ解説書や入門書に比べても、タイヤの物理的な
機能をより根本的な面からの理解を深めることを助けてくれると思います。