世界でもきわめて評価の高い経済学者ポール・クルーグマンは、いま最も大きな影響力を持つ気鋭の論客であり 、ニューヨーク・タイムズ紙に連載中の刺激的なコラムは数百万の人々に熱心に読まれている。ワシントン・マンスリー紙は彼を「アメリカの最重要コラムニスト」と評し、エディター&パブリッシャー誌は「コラムニスト・オブ・ザ・イヤー」に選んでいる。
クルーグマンの主要なコラムを新たな解説とともに収めたこの待望の新著では、バブル経済の破綻、熱狂から悲観への変化、企業ヒーローの時代から企業スキャンダルの時代への推移、財政責任の崩壊などが詳しく論じられている。カリフォルニア電力危機の秘史に関する説明から、ブッシュ政権の不正行為の衝撃的な分析に至るまで、クルーグマンは、アメリカが道に迷っていることを示す不愉快な事実を次々と明らかにし、そのうえで、この国を再び正しいルートに戻すためのロードマップを提示している。
For example, he warned that the Bush tax cuts of 2003 would plunge the country into a new economic depression, the opposite, in fact, has occured. The economy not only recovered, but is soaring. But never mind that, Krugman, in his ivory tower, simply ignores this incovenient fact in his op-eds and bashes the tax cuts anyway.
Don't waste your time with his bull!
ハードカバー版が出てきたときには、あまりに攻撃的すぎるとか一方的だとか言われていましたが、一年経ってみると内容的にも論調的にもまちがっているところはまったくなく、当時はあまりに過激に思えた口調もいまや当然至極に思えるほど。大量破壊兵器は結局なかった、と2004年9月にアメリカ政府は認め、イラクの泥沼化も予想通り。景気も停滞したままで、その他の面でもめちゃくちゃ。そしてその表現も明快。軽やかな文と同時に、p.465 のようなグラフ一発の表現力は経済学者の面目躍如です。ワシントンの内輪におらず、コネによる情報のおこぼれに頼った執筆ではなく公式発表データをもとにした単純ながら的確な分析の力に、改めて驚かされるとともに、それを一介の理論経済学者がやらねばならなかったアメリカのジャーナリズムの現状(さらにはそれすら登場しない日本の現状)について絶望まじりに考え込まされる一冊となっています。