手軽に「エクリ」を読める…かな。
★★★★★
安いですねえ、それもそのはずペーパーバック仕様の方です。
長く使うことを考えれば、この本のハードカバー仕様がありますからそちらをどうぞ。
翻訳はミレール率いる「フロイトの大義派」に所属しているブルース・フィンクですが、彼の翻訳・著作はどれも秀逸ですので、興味のある方は読まれるといいです。
さて、我々日本人がこの本を利用するメリットですが、「仏語が苦手だから」という理由で買う方が大半でしょう。
しかし、ラカンのエクリもセミネールも「単語」や「文章」に多義的な意味を重ね合わせていますから、けっきょくは仏語原版を入手することをお勧めします。
日本語版の「エクリ」は誤訳と脱落の嵐で、とても読めたものではありませんが、もし仏語版を読むための参考とするならば、無いよりあった方がましです。
私はこのペーパーバック仕様を買いましたが、仏語原版を読むのに大いに参考にはなりました。
ちなみにこの「米版エクリ」は非常に翻訳の評価が高い本です。それはフィンクが逐一ミレールに相談しながら地道に進めていったことが大きいでしょう。
日本語に訳されたフィンクの『ラカン派の精神分析入門』(誠信書房)も非常に良い本です。
そちらもよろしければ読んでみては如何でしょうか。