本書の対象年齢,内容について
★★☆☆☆
本書の対象年齢は「小学校から大人まで」とあるが,私見ではせいぜい「中学2年まで」であろう.翻訳に工夫の跡が見られるが,全般に翻訳がこなれておらず,直訳的な日本語の使い方がある.特に脚注が稚拙であり,日本語であっても,読みにくい.内容については,「ガンジーがなぜ不買運動や非暴力の手段を選んだのか」その背景が伝わってこない.また「不買運動が日本では一般的でないのに,当時超巨大国家であった英国に対して,なぜ効果があったのか」が伝わってこない.重要な小中学生の世代にとって,これらのガンジーの理念と,概念を伝える絶好の機会のはずなのに,ガンジーが,衣服を西洋風からインド固有の衣服に替えたこと等だけが強調されており,的はずれである.また「塩」の行進についても,なぜ英国に殺されかけても続けたのか,事実しか書いて無く,インドの人々の心や背景が書かれていない.