●あらすじ
舞台は華やかなりし、ルネサンス。小領主の娘レオノーラは、結婚相手の屋敷で、自分そっくりの少女の肖像画を見つけます。作者は天才レオナルド・ダ・ビンチ。その絵の少女に、強大な力を手に入れる鍵があると言われていることを、レオノーラは知ってしまいます。
絵の題名は「花冠のマドンナ」。
利用されることを拒むレオノーラは、自分でその力を手に入れたいと望み、ダ・ビンチのいるフィレンツェへと一人旅立ちます…。
●読みどころ
日本で言う戦国時代のようなルネサンスという時代。キャストにもダ・ビンチなど有名人が顔を出しますが、使い方も上手で楽しめます。
そしてまた、政治の駆け引きと絡みあった恋愛模様も読みどころでしょう(もちろん政治の方はあんまり気にしなくても楽しめますけどね)
●イチオシ(笑)
レオノーラの相手役は、没落王家の王子ファルコ。金髪、美形で優しくて、剣の腕も立つ。少女漫画の王道ヒーローですが…この作品には彼以上の存在感を誇る、闇のヒーローがいるのです。
チェーザレ・ボルジア。
法王の息子。時代の寵児。孤高の天才。ダークヒーロー。
…存在感がありすぎて、完全にファルコを喰ってしまった感があります。実在の人物で、彼の登場するマンガは幾つもあるのですが、この作のチェーザレは別格です。
(余談ですが一巻の巻末解説でも、解説者は彼だけチェーザレ「さま」と呼んでいますし。心境はよぉく分かります(笑))
思い切ったらすぐ行動の、潔くカッコよく剣の腕もたつレオノーラと、
お坊ちゃま育ちで優柔不断だけど、優しいファルコ王子、
そしてファルコとは逆に、押して押して押しまくる、有言実行の自信家チェーザレ。
魅力的な役者たちに彩られた西洋時代劇、開幕です。