巻頭の「生きている地球」の章では、生態系の基盤となる地球環境や、生命の誕生とその後の進化の様子など、地球の辿ってきた道筋と現状を紹介する。また、生物多様性を理解する上で鍵となる進化論や分類学について、わかりやすく解説する。章の最後には、本書のためにデザインされた[生命の樹](p.32-35)を掲載した。これは一種の系統樹である。地球上の生物がどのように多様化しながら進化してきたのか、また、どのような類縁関係にあるのかを、見てとることができるだろう。
驚異的な多様性本書の神髄は、息をのむほど鮮やかなフルカラーの写真が5900点以上も掲載されていることである。植物、動物、菌類、微生物に加え、岩石、鉱物、化石までを収録したこの大図鑑は、地球の自然のすばらしさを伝える比類のない書物となっている。
分子系統学・分類学の成果近年進んでいる遺伝子解析により、生物の分類体系は、原核生物をアーキアとバクテリアに分けるなど、大きく変わってきている。本書はそれらを反映した初の大図鑑といえる。
見開きの特集ページでクローズアップ特に見応えのある種をいくつかピックアップして見開きで特集している。さまざまな角度からの解説により、その生物の知られざる側面が明らかになる。
地球の宝箱『地球博物学大図鑑』は宝箱のような1冊で、希有にして美しい地球の多様性をまのあたりに見せてくれる。人類の活動が多様性を脅かしているいまこそ、自然保護を願う人をはじめとして、あらゆる人々に本書をお薦めしたい。