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Bag of Bones

価格: ¥2,228
カテゴリ: ハードカバー
ブランド: Hodder & Stoughton Ltd
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 『Bag of Bones』(邦題『骨の袋』)は、どこかダフネ・デュ・モーリアの名作『Rebecca』(邦題『レベッカ』)を思わせる作品だ。しかし、この小説のホラーやロマンスには、『Rebecca』への単なるオマージュにとどまらない奥行きがある。デュ・モーリアの描いたマンダレーと同様、本書の恐怖の舞台となる古い土地(メイン州にある、人里離れたダーク・スコア・レイクの湖畔)にも、以前亡くなったはずの領主夫人の幽霊が出没する。だがそればかりか、この湖畔には、男、女、泣き叫ぶ子どもたちなど、血みどろの幽霊がぞろぞろと出現するのだ。主人公であるミステリー作家は、妻の突然死の原因を調べながら多くの疑念をつのらせ、憤怒の情にかられていく。実は、妻は彼にうしろ暗い秘密があったのだ。それはダーク・スコア・レイクに秘められた、ある恐ろしいスキャンダルに関係があるらしい。前作『Wizard and Glass』(邦題『魔道師の虹』)と同じく濃厚に広がる非現実感のなか、好奇心旺盛の主人公はこの世からはじき出され、敵意に満ちた別の世界へと追い込まれる危険にさらされる。

 『Bag of Bones』は、さまざまな作家の影響が感じられる作品でもある。ハーマン・メルヴィルやレイ・ブラッドベリらの精神があちこちから伝わってくる。ふたつのロマンス(主人公は妻との結婚生活の思い出にふける。また、のちには霊感の強い不思議な娘をもつ、若いシングル・マザーに夢中になる)の描写もしかりだ。また、主人公がベストセラー偏重の世の中に対してさり気なく皮肉を言う場面もある。「出版社の奴らは、生きのいい作家ばかりをちやほやする。スシのネタじゃあるまいし」。愛情、ばらばらの家族、作家生活、危険に脅かされる子どもたち、そしてどこか昔のスタイルにのっとった話の展開。これらの多くの点から言えば、この作品はジョン・アーヴィングの小説にも通じるものがある。

   本書は、いきな言い回しやきわどいユーモアがちりばめられた、まさに典型的スティーヴン・キング作品である。布団の中でちぢこまって読んでいれば、ベッドの下からぬっと突き出た悪霊たちの手につかまれ、身も凍る思いをすること間違いなしだ。