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経済の文明史 (ちくま学芸文庫)

価格: ¥1,470
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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玉野井先生が訳者だったので ★★★★★
玉野井先生が訳者だったので、ポランニーを読み始めました。
文庫になったことは知りませんでした。
大枚をはたいてかった本が、文庫で手軽に読める現在はうらやましい限りです。
しかし、同じ値段の文庫で、その内容の価値が100倍も1000倍も違うものを、見分けられない読者には価値はないのかもしれません。
経済学を志す人だけでなく、社会学、歴史などを志す人達にもぜひ読んで欲しいと思います。

ps.
企業の経営者の方が、玉野井先生の「転換する経済学」「エントロピーとエコロジー」を含めて、読まれると、利益至上主義の経営がいかに経営の基本から外れているものかが掴めるかもしれません。
経済を社会に埋め戻すとは? ★★★★☆
 著者は、人々が主として経済的動機によって行動する現代の産業化社会は、19世紀の西欧において初めて出現したと主張する。そして、前近代社会においては、経済システムは社会関係の中に埋め込まれていて、人間は経済的存在でなく社会的存在であり、物質的財産の獲得ではなく、むしろ社会的名誉・地位の確保といった社会的認知を得ようと努力するとして「人間の経済は原則として社会関係の中に埋没している」と主張する。しかし現代の市場経済社会においては逆に、経済システムの働きが社会の他の部分を決定しており「社会関係が経済システムの中に埋め込まれている」のだという。

 本書は1940〜1950年代の古い文章とは思えない新鮮な刺激を与えてくれた。救貧法改革(1834年)によって自由な労働市場がイギリスに誕生したのが、ほんの1世紀前であるという記述には時代の経過を感じたが、逆に市場経済システムの歴史はイギリスでもそれほど短いものに過ぎないのか!ということに驚く。産業革命を重視する著者の考えに従えば、当時のイギリス政府による一連の政策によって、市場経済原理の三つの教義(労働市場・金本位制・自由貿易)がイギリスに確立してから、現在までわずか百数十年しかたっていないのだが、このような短期間で市場経済システムが世界中を覆い尽くしてしまったという事実には驚かざるを得ない。
ポランニー理解の「とば口」として ★★★★★
 
 時代的制約からボルシェヴィズム等に対する過度の楽観論が散見されるが、本書はウィーン生まれのハンガリー系経済人類学者、カール・ポランニー(Karl Polanyi,1886-1964)の重要と思われる10編の論攷をまとめたものである。同書は、まさに「ポランニーの仕事のエッセンスともいえる論文をほぼ網羅しており」(佐藤光氏の「解説」)、ポランニーの業績を理解する上での「とば口」として意義ある書物となっている。

 現下においては「資本主義市場経済」体制が“我が世の春”を謳歌しているけれども、このシステムを考究する場合、当書に掲載されている「自己調整的市場と擬制商品−労働、土地、貨幣」(1944年)などの論稿は、“井底之蛙”とならぬためにも一度は眼を通しておくべきであろうと考える。実際、「市場経済の急速な発展こそが、資本主義という建築物の拡大を支える基礎」(F.ブローデル)なのだから。

 ここで労働、土地、貨幣という「擬制商品」との関連で、これら三大生産要素の「市場化限界論」を展開する金子勝氏のポランニー批判であるが、たとえば氏は要素市場における“(国民)国家の(政治)権力的作用”の視点が欠けているとする(『市場と制度の政治経済学』)。確かに、ブローデルが語るごとく「資本主義は、それが国家と一体化するとき、それが国家であるときのみ、栄える」(『歴史入門』)のだ。

 だが、ポランニーは前掲の論文で「規制と市場は連れだって発達」し、「市場経済の根底にある特異な諸前提」として「国家とその政策(=市場の自己調整を保障するのを助ける政策)」の問題にも明示的に触れており、そのことは保守派の論客、佐伯啓思氏も認めているところである(『現代日本のリベラリズム』)。私には、金子氏の前述のようなポランニー批判はあまり当を得ていないように思われてならない。
お世辞にも読みやすいとは言えませんが ★★★★☆
市場経済社会は近代の独特の制度である。
それがポランニーが最も言いたい事であろう。
我々にとって自明と思われる経済事象が実は近代の市場経済社会に独特のものであることを論述する過程は知的な枠組みを刺激するものがある。とくに市場と貨幣に関する論考はこれまでの資本主義や経済というものへの思いこみを打ち壊しうるものである。

著者の時代背景もあってか社会主義に高い評価を与えているのは今日から見ると疑問符の付くところであるが、当時(そして今も)の資本主義の抱えていた大きな問題も考えると致し方ないところであろうか。また、第2部はポランニーが同時代の問題を捉えたものであるが、我々から見たら過去の話であるため、同調しづらい部分もある。この書の中心はやはり市場経済の特殊性を述べた第1部であろう。
経済人類学論集 ★★★★☆
 市場経済交換に対して互酬、再分配(贈与制、貢納制)という経済流通のモードを提示し、市場経済が全面化したのは近代だけだという仮説。問題はポランニーの想定した完全な市場は存在しない(「ベニスの商人の資本論」岩井克人)ということと、ポランニーは当時社会主義に好意的でそのまま死んだこと。吉本隆明と栗本慎一郎の対談「相対幻論」ではマルクスのアジア的生産様式論と絡めて対論されている。
「アリストテレスのよる経済の発見」は経済的成長の観念や利潤の観念が無い「交換は「中庸」を保持するための分与である」というアリストテレスの考えが語られる。
他「ファシズムの本質」「ハムラビ時代の交易」等。