薬物中毒から回復中の弁護士が司法制度そのものの腐敗に直面
★★★★★
私がコナリーのサスペンスにひかれるのは:
1.文体がきびきびしていること、これは彼の新聞記者修行の賜物。
2.主人公が心に深い傷を負っていて、しばしば絶望的な気持ちに陥り、
それと闘いながら、自分の仕事を成し遂げていく点
3.ピューリタン的な潔癖さがあって、いたずらに官能的な描写は決して
やらない点
です。
刑事ボッシュも登場しますが、主役はあくまでも弁護士ホラー、彼は痛み止め薬を過剰に投薬された
のが原因で薬物中毒になり、1年間のリハビリを終えたところで、殺された弁護士の事件を引き継ぐこと
になります。
ホラーの内面は丁寧に描写されます。
弁護活動のさなかで、無力感、無意味感に悩み、"abyss"深淵(しんえん);どん底, 極(きわみ)(恥・絶望・破産など)を前にして、薬物に逃避しそうになり苦しみます。
陪審員が80人のプールから最終的に12人に絞られますが、そのうちの1名は
送り込まれた"sleeper"です。どうやったら、送り込めるのか?
司法システムそのものが腐敗しているとしたら?
この作品も期待を裏切りません。
消化不良
★★☆☆☆
初めてマイクル・コナリーを読む場合は楽しめると思います。それなりに謎解き、どんでん返しもある、良質のミステリーです。
ただ、初期からコナリーを詠み続けている読者にとっては、やや消化不良気味です。登場人物の心理的な内面の掘り下げがもう一歩かな、と思います。
本作に限らず、異なるシリーズの主人公を共演させると、いまいち質が下がるようです。
読者を裏切らないコナリー
★★★★☆
私の好きなBoschとリンカーンロイヤーMickey Hallerのコラボレイト、ただ、ボッシュの登場場面が少ないのが残念。でも、相変わらず最後のどんでん返しや、さらにファンには嬉しい驚くべきプレゼントが最後の最後にあったりして、やはり楽しめました。ただ、法律用語が多く、辞書なしで読むにはボッシュシリーズよりむつかしい気がしました。