ただただ残念です。
★☆☆☆☆
まさに上記の方達のレビューの通り。rockin'onがかつてポールの伝記本、Many Years From Nowを出した時は、「さすがはrockin'on」、ビートルズ、ポールという偉大な対象を本にするにあたっての気構えと謙虚さを、本の編集の仕方や手にとった本の重みからしっかりと感じ取れたものです。そしていよいよrockin'onがビートルズの本を出すということで、期待十分で本書を手に取りましたが、読後の感想は、ただただ残念としか言いようがありませんでした。
何が残念なのか、具体的な指摘は長くなるからさておき、全編を通して感じる、ビートルズ、読者、書物そのものに対する横柄さからくる、後味の悪さはなんなのでしょう?最後までrockin'onの編集者が、全力でビートルズという「聖域」に立ち向かっている情熱や汗は感じられず、何の根拠もないただ「rockin'onが出しているんだぜ」的な、うっとおしいプライドだけが終始見え隠れする感じ。本書中の唯一の光、誠実無垢なピーターバラカンさんのインタビューが不憫で滑稽に感じてしまいました。
月刊誌のひとつの特集企画としてであれば、何とか読み通せるレベルだと思いますが、まがりなりにも天下のrockin'onが、rockin'on booksのvol1 と銘打って、記念すべきロック誌を創刊するのであれば、あまりに足りない。本書中の幾つかの寄稿原稿にいたっては、足りないどころか、ビートルズを、読者を舐めすぎてる。(原稿を書く上で、この方達はちゃんと改めてビートルズを勉強しなおすぐらいの謙虚さがあったのだろうか?)
rockin'onが想像する以上に、現在のビートルズ・ファンはビートルズに対する知識も愛情も、正しい形で持ち合わせていると思います。日本が誇るロック誌の老舗が満を持してビートルズ本を編集するのであるのなら、ビートルズが好きな読者や、興味を持とうとしている読者たちの想像の上をいく、rockin'onなりのビートルズに関する豊かな内容が一杯に詰め込まれている本を提示すべきだ。その結果、その本が好き嫌いが分かれる物となっても仕方がないけど、本書にはこのシリーズのVol2であるレッドツェッペリン本のような気合がまったく感じられない。スカスカなんです。いくら本書中にレアなインタビュー記事を挿入しても、名のある執筆陣を連ねても、この耐え難いスカスカ感は否定できない。だって、気合が感じられないんだもの!この程度の本なら、他に刊行されているビートルズ本の中にも、この本以上に編集に汗を感じ、ビートルズに対しての愛を感じるものは山ほどある。
この本は決してビートルズ本の決定版でもなんでもない。ただの普通の雑誌社の編集者が、ビートルズを題材にしてつくった、ちまたによくあるビートルズ本の中の1冊(それよりは少し変なクセのある)でしかないと思います。
rockin'onが最近刊行した本では、上記のツェッペリンと清志郎さんの追悼本がありますが、いずれも読者に編集者の熱い想いが「伝わる」本だと思います。やっぱりここ一番のrockin'on本は、渋谷さんがしっかりと睨みをきかせて編集してないと、残念ながら全然ダメなようです。他のスタッフが、渋谷さんの経験と気合もなしに、渋谷さんのトーンだけ真似ると、こんな説得力のないスカスカで偉そうな本になってしまう。それがビートルズ本だからなおさら腹が立つ。
ふだんこのようなレビューなど絶対に書かないし、ましてやそのレビューで商品の批判を書くほどの暇人ではないと自負しているつもりですが、あまりにこの本が残念なくせに、装いだけは偉そうだったので、書かせていただきました。渋谷さん、僭越ですが貴方がバリバリ陣頭指揮をとった、rockin'on的なビートルズ本を読んでみたいものです。
第1弾だけど・・・
★★★☆☆
rockin'on BOOKS と銘打ったアーティスト本の第1弾。
良くも悪くも rockin'on 的なビートルズ本。
個人的には最近の小難しいコレクター的な内容のビートルズ本に辟易していたので読み物として結構面白く読みましたが
正直、内容はビギナーには分かり辛く、マニアには物足りない、特に現在のビートルズファン(オタク)には全然物足りないのでないでしょうか?
う〜んrockin'on にはビートルズ本を出すより、ポールの伝記本[Many Years From Now]を再版をして欲しいなぁ
そこまで酷いと思いませんでしたが・・・
★★★☆☆
各アルバムについて、ポール・マッカートニーのコメント(「メニー・イヤーズ・フロム・ナウ」からの抜粋)+複数の執筆陣によるアルバム解説を並べていくといった構成になっている本で、リマスターを担当したアラン・ローズ&ガイ・マッセイに対するインタビューを除くと今回のリマスターにほとんど関係のない内容です。便乗本と言われても仕方がない内容でしょう。ただ、アルバム・ガイドを通してビートルズの歴史を俯瞰・総括するという意味では、それなりに理解しやすい構成で、面白いと思いながら読みました。
一つのアルバムに対する複数の執筆陣のコメントというのは好意的に言えば異なる視点からの感想を比べられるという意味で面白いですが、内容の重複があったりしてうっとおしい部分もあります(意地悪く言えば、執筆陣の力量を明瞭にするので、そういう意味では面白かったです;例えば松村雄策の「年寄りの繰り言」といった文章を読むのは正直苦痛でしたが、宮嵜広司の解説はなかなか良かった)。
ほか、ビートルズの時代をイギリスで過ごしたピーター・バラカンに対するインタビューは同時代人の一般人の視点を知るという意味で興味深い内容でした。
なお本書は縦書きで、人名やビートルズの曲名がカタカナで羅列されており、かなり読みにくいと思いました。内容を考えると価格も高めの設定ですし、敢えてお勧めはしません。