少女のロマンスと夢と現実と
★★★★☆
純粋で無垢な少女キャリーが夢を抱いて都会へ上京。そこで夢見る甘いロマンス。そしてぶつかる現実と葛藤。Dreiserはそんな少女を人生論や一般論、心理学を用いて彼なりに分析を盛り込み複雑な心情を書き上げている。少女キャリーの波乱万丈な人生に入りこみ、さも自分が体験しているかのように物語にはいりこめるビビッドで身近な表現は、一般的な教育しか受けていない庶民的作家だからこそのテクニックである。彼女と彼女を取り巻く登場人物を通じて人と人の出会いを運命のいたずらと感じると同時に、儚く大切なものと感じることのできる豊かなストーリである。