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シスター・キャリー〈上〉 (岩波文庫)

価格: ¥1,134
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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とても100年前に書かれたとは思えない! ★★★★★
上巻に引き続き、さらに波乱の展開を迎えます。

上・下巻を通して、生き生きとした描写でまるでドラマを見ているようです。読み終わったあとも、現実世界とつながっているように感じると思います。ドライサーが描いたアメリカとキャリーの心は、現代と私達の心に通じるものがあるのではないかと思います。単にキャリーが悪女ではないところがポイントだと思います。

読めば読むほど、さまざまな発見がある作品です。

鋭い心理描写にも注目 ★★★★★
 田舎町からシカゴにやってきたうぶなキャリーは、二人の男を踏み台にして、次第に美しく逞しく成長していく。華やかな物質文明の中で、女優として自らの価値を見出した彼女は、見果てぬ夢を見続けるのだった…。

 人間は所詮環境の力には勝てない生き物であり、人生は救いのない惨めな負け戦である、とするのが自然主義であり、ドライサーは、アメリカ自然主義の代表者の一人と言われている。しかし、この作品は、それほど自然主義の色合いは強くない。キャリーの元恋人ハーストウッドだけが、惨めな負け戦を一身に背負っている感がある。

 ロマン主義が好きな人は、暗くて重い自然主義の作品を敬遠しがちであるが、この作品は、テンポも軽くストーリーも面白い。

 何より、あっと息を呑むような顊??い心理描写が随所に散りばめられているのが魅力だ。例を挙げると、キャリーが自らの弱さを明確かつ本能的に認める箇所や、落ちぶれたハーストウッドのぎりぎりの自尊心の描写などは、真に迫るものがある。

 読者は、この本の結末に人生の不条理さを感じるかもしれないが、それとまた同時に、見果てぬ夢を見続けるキャリーに自らを重ねてしまうのではないだろうか。