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野性の呼び声 (光文社古典新訳文庫)

価格: ¥500
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
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哲学し、愛について考える犬の世界 ★★★★★
ジャック・ロンドンが白人至上主義者であり、極めて男性至上主義的な考え方をする人間であったことは広く知られている。
そのような、小説家としてはあまり相応しくなく、リベラルとはかけ離れたものの考え方も、珠玉の作品の前では無意味である。

犬の話という意味では、近年アメリカの翻訳もの、ポール・オースターの「ティンブクトゥ」などと比較しながら読むと面白いかもしれない。
生死のはざまを彷徨いながら、哲学し、愛について考える犬の世界を、晩春にのぞくのも一興かと。
湘南ダディは読みました。 ★★★★☆
ロビンフッドの冒険と並んでこれも少年時代に愛読した作品です。バックはセントバーナードとシェパードの混血種でカリフォルニアの裕福な家庭で飼われていましたが、金に困った使用人により犬橇犬としてゴールドラッシュのアラスカ方面に売り飛ばされてしまいます。バックは最初、棍棒や鞭で叩かれたり仲間犬から喧嘩を売られたりして途惑いますが、持ち前の負けん気と体重が64kg(因みに我が家のピレネー君は54kg)あり聡明でしたので次第に頭角を現し、やがてたくましい先頭犬になります。しかし3回目に売り飛ばされた主人達は最悪で、犬橇の操作もでたらめで春で溶けかかった氷の上を無謀にも渡河しようとするのです。
本能的に危険を感じ叩かれようが蹴飛ばされようが動こうとしないバックを救ってくれたのが中継点で仲間を待っていたソーントーンです。これまでただ服従することのみを鞭と棍棒で強いられてきたバックは、はじめて人の愛情をソーントーンから受け、ソーントーンを襲う暴漢を倒したり、彼のために重い犬橇を引く賭けに勝ったりしながらバックのソーントーンへの忠誠心は日に日に固いものになって行きます。
 しかし一方では夜毎に荒野を渡ってくる狼達の遠吠えに、遠い原始の頃の記憶が甦ってきます。ついにある夜、ソーントーンのキャンプを抜け出してその遠吠えをたどっていったバックには一匹の狼との友情が生まれ、その狼と深夜の荒野を肩を並べて疾駆する自由な喜びを知ることになります。そうしたひそやかな楽しみのあと、朝キャンプに帰ってみると・・・・
原題はThe Call of the Wildでバックが次第に野生を取りもどしていくという意味ではこの訳題は勿論正しいのですが、荒野を吹き荒ぶ北風に乗って聴こえてくる狼たちの遠吠えにバックが次第に誘われていく様子を彷彿とさせる意味では「荒野の呼び声」という題の方が私は好きです。是非再読してみてください。