面白かった。
★★★★★
ついで買いしたのだが、楽しめた。
オオカミの成長がよく書かれていて、犬や人間との交流なども精緻に描写されている。
ストーリーもいろいろな展開があって、抜群に面白かった。
湘南ダディは読みました。
★★★☆☆
「野生の呼び声」を読んだのでその後に発表された本作を再読しました。ご存知のようにこの2作は互いに姉妹編とも言うべき作品で「野生の呼び声」は人と生活していた犬が狼の群れの中にもどっていくのですが、「白い牙」は逆に狼が人間世界に入ってくる話です。
ホワイトファングは母狼から狼として生きる術を充分学ぶ前にインディアンのグレー・ビーヴァに飼われることになり人間への服従を暴力的に仕込まれるのですが、狼の血故に他に飼われている犬たちになじむことが出来ず、次第に凶暴でずる賢く孤独な性格になっていきます。その抜群の殺戮能力に目をつけた卑しい興行師ビューティ・スミスはグレー・ビーヴァをウィスキーで酔わせてホワイトファングを譲り受け、賭けの対象として他の犬と闘わせます。ホワイトファングは当然負けることがないので、一度に2匹とか3匹の犬を仕向けられたり野生の大山猫と闘わせられるなど興行はますますエスカレートし、そして遂にブルドックとの死闘に敗れ絶命の寸前に、裕福な鉱山師ウィードン・スコットによって救われることになります。物語はここまではサディスティックなほどにホワイトファングが受ける残酷で愛のない仕打ちを描いてきますが、ここからはスコットによりゆっくりとその孤独で凶暴な性格から人の愛情にめざめていく過程が語られ、やがて犬との共存にも順応し心温まるエンディングを迎えます。
私もピレネー犬を飼っているのでロンドンの作品を読んでいて特に同感するのは、いかに従順にしつけられた犬でも、どこかに野生に対する原始の記憶や憧れがあり、彼らが非常に賢く誇り高い生き物であるということです。
我が家の犬は大型犬で家の中で飼っていますので基本的には温和ですが、夜たまたま庭に出したりした時に庭の中央部に座って満天の星空を見上げて遠吠えをする姿など見ると、少しオーバーに言えば近寄り難い野生を感じることがあるのです。
動物文学の傑作!
★★★☆☆
小学生の頃に図書館で借りて読んだ作品である。
書店で見つけて、思わず手に取った。あの頃は動物文学に嵌まっており、椋鳩十や戸川幸夫を読み漁っていた。
狼の血を引く「白い牙」は、過酷な運命に翻弄されながらも、生への強い執着心を捨てず、最後に安息の地を見つける。
彼の生き様は、心弱く、すぐに投げ出してしまう(命さえも)人間に強い感動を与えるはずだ。
つまらぬ理屈で押さえ込もうとする者たちに、本当に心を通わせるとはどういうことかを教えてくれる。
是非、思春期の親子に読んでいただきたい。
ただ、今回読んだ作品は訳者が代わっていたためか、訳自体が面白くない。日本語として通りの悪い箇所がいくつか見受けられた。懐かしさを考慮に入れて星三つといったところだろう。
偏見を覆された名作
★★★★★
実は,この本を知人に薦められて,半年以上の間,手元で暖めてしまった。
何となく手が伸びなかった理由は二つの偏見がある。
ひとつは翻訳ものはどうしても読みにくくてちょっと抵抗があること。
もうひとつは動物文学は,大抵,ラストに登場する動物が死んでしまう
ものだと思いこんでいたこと。
しかし,実際に読んでみて,自分が大ばか者だったことを思いしらされた。
人間の心情でも難しいものを,狼の心情が手に取るように,
その情景が浮かんでくる。
母親に対して,未知なるものに対して,人間に対して。
まるで,狼がすぐそこにいて語りかけてくるかのように,
その心情が流れて入ってきた。
また,あとがきのなかで訳者の白石さんも書かれているように,
人間と狼の関連に見られる人間性や,狼の目を通してなされる人間への
辛辣極まる諷刺に,強く揺さぶられた。
いくつになって読んでも,人間性の幅を持たせることの出来る傑作だと
言えるだろう。
まぎれもなき傑作
★★★★★
動物文学という性格上、当然のことなのだが、ほとんどがセリフに頼らずに話を進めている。それでこんなに読ませるんだから、たいした筆力だ。描写にも展開にもダレがなく、引き締まった文体が着実にストーリーを綴る。野生、そして愛。ホワイト・ファングに四分の一の犬の血を引かせているというのも、まったくにくいほど行き届いた設定だ。本作品に横溢するむきだしの愛に心を打たれる。これが人間同士だと、嫌味や臭味が出て鼻につくところだが、そこは動物文学の利点を知り尽くしたジャック・ロンドン。すべて計算済み。人間への視点も容赦ない。これは動物文学、いや、文学のまぎれもなき傑作。