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僕たちの好きだった革命

価格: ¥1,785
カテゴリ: 単行本
ブランド: 角川学芸出版
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小説と演劇のはざま ★★★☆☆
舞台の小説化と知らずに読んだのだが、極端にデフォルメされたキャラと繰り返されるギャグはいかにも舞台のものだ。学園紛争のさなかに気を失い30年間眠り続けて目が覚めて、高校に再入学したオジサン高校生の引き起こす騒動を、同級生がリアルタイムに記録したという設定の話を、さらに10年後に発掘してそれを読むという、二重の回想構造になっている。その距離感は、きっと作者が現代の高校生に感じている距離感の反映なのか、あるいは小説と演劇という媒体の違いなのか。
演劇自体が、ノリで盛り上がるという非日常空間だから、現代の高校生がラップの音楽のノリで学生運動的な「自主開催文化祭」に突き進むという話で100%OKなのだろうが、小説の中だと、やっぱり立ち止まって自分の頭できちんと考えなきゃというようなものになるのかもしれない。そういう一種のためらい的なところに共感した。
劇場への招待状 ★★☆☆☆
演劇を見慣れていない人には、小説と思って読み始めるとなんのこっちゃになるでしょう。素直にシナリオで起こせばよかったのでは。でもそれだと売りにくいだろね。ははは。あれだけ筆の達者な鴻上さんでもこうなるのね、と半ば嬉しくもあり。これは編集の問題だけど、1行何文字入るか早い段階で決めなかったのかしらー。残念な改行位置がいっぱい。それだけで断然印象が違うのにもったいない。しかしお芝居として観たら面白いだろうという想像はできましたので、再演の機会があればぜひ観たいです。
懐かしい鴻上さん。 ★★★★☆
コメンテーターとしての鴻上さんが好きなので、店頭で名前をみて初めて買ってみました。
小説は苦手てでちょっと読んでほっぽり出してましたが、なんとか読みきったところ、感想は以外と良かったです。
学生運動ネタってのは大嫌いなジャンルなのですが、読み終えてタイトルに納得です。
過去のものにしたかったのですね、著者は。
僕もそう思います。ヘルメットに機動隊なんて話題は過去のものです。
今の若者は…もっと大きな野望を抱いていると思いますよ。
その証に、小説に登場する高校生たちは熱い気持ちを持っているじゃないですか。
その手段が見つからないだけ。
別に、学生運動が一番正しい思想と手段というわけではない。
それよりも、むしろ現代の若者たちの方が、よっぽど合理的で洗練された考え方を持っていると思う。
その分、大人たちも理屈で攻めてくるから、それに対する情熱と組織力が必要だよな〜
頑張れ、現代の高校大学生たち!
大人はやっぱり強敵だぞ!
学生運動なんてテレビでしか知らない世代です。でも・・・ ★★★★★
「鴻上尚史」

 この名前を聞いて、私が真っ先に思い浮かべるのは
「地球ジグザグ」である。
今やっている「うるるん滞在記」の原型となっているのであろうTV番組で世界に行くのはタレントではなく、素人さんであったところが大きく違っていた。
 鴻上尚史はこの番組の司会者であった。
 当時中学生だった私は毎週楽しみにしており、いつか自分も出てみたいとさえ思っていた。

 なぜわざわざ、こんなことを書くかというと私にとって鴻上尚史は作家というイメージが無いからである。
 劇団第三舞台も聞いたことはあるが見たことは無い。
ただずっと長い間(ジグザグは20年ほど昔)気になる存在であり続けていたのはジグザグでの司会者ぶりが面白かったからである。頑張ってきた若者たちに笑える毒舌でエールを送るのがうまかった。

 前置きが長くなりましたが、この作品について言うと、出だしは「よくあるシュチュエーション」の話だな、と思いながら読んでいた。
 が、読み終わってから気づいたのであるが、この作品にはプロローグとエピローグがある。ここが重要なのである。どういう意味なのかはぜひとも読んで確認していただきたいのでここには書きません。本編ももちろん面白いのですが、この構成になっているからこその読後感がキモチイイ作品です。

1969年、学生闘争のさなか、頭部に機動隊のガス弾を喰らい意識不明となった男が30年後意識を取り戻し、平成の世の中で学生運動をする。
ね、よくある話と思うでしょ?

 事実本編にはそれ以上トリッキーな設定は無いのであるが、そういう時代の後に生まれた私にとって、衝撃だったのは学生闘争が最後は「内ゲバ」となって、滅んでいったという事実である。
 もちろんそういったことはドキュメント番組やその他の物語などで知っていはいたのである(確かあさま山荘もそういったことがきっかけで起きたんだったような気がする・・・うろ覚え)が、実際にそこまで闘争にかかわったものにしてみれば、目指したものは「ラブ&ピース」だったはずなのにまったく逆の惨劇をもたらしたというのは封印すべき忌まわしき記憶以外の何者でもないと思う。

 帯には、「チョーむかつくんだよ」「腸がむかつのか?」など、現代の高校生とのギャップの面白さがかかれており、私もそれに引かれて、読んだのであるが、闘争をしながらも途中で植物状態となり、内ゲバを知らない主人公と、その惨劇を経験し、今の世で「大人」として生活しているものとのギャップが本当の意味での帯にある「通じあわない心」である。
 それに気づいたとき、よくあるシュチュエーションの物語ではなくなり、感情のぶつかり合いのせりふに目頭が熱くなった。

私はその時代で言うなら「ノンポリ」(現代ではほとんどそうなるでしょう?)になるであろう人間で、不景気、物価高といっても、政府に抗議、デモ行進なんてはこの作品を読んでも思わないのですが、それでも自分らしく生きるとは何なのかを深く考えさせられる作品となりました。

もちろん、エンターテイメントとしても十分過ぎるぐらい面白いです。まずは深く考えないで、帯をみて面白そうと思ったら読んでいただきたいです。
山崎、未来に続け! ★★★★★
機動隊との衝突で植物人間となった主人公が30年後に突然目を覚まし、世代の違いを越えて高校生と連帯し、かつての夢を実現する。1960年代学生運動の最も良質な部分を代弁しながら、呵呵大笑させてくれる好著。(特に、かつて学生運動で挫折したと思しきいわゆる「団塊の世代」(生徒たちの父兄)の描き方が秀逸。)読み始めたら止められなくなり、一気に読んで、舞台(もう終わったが)を観たくなることしきり。(読後感は、金城一紀の『FLY、DADDY、FLY』に似ている。)若い方々ばかりでなく、おやじ世代にもお勧めです。