【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:産経新聞取材班/著 出版社名:産経新聞出版 発売所名:日本工業新聞新社(発売) 発行年月:2009年11月 関連キーワード:ソウカツ セヨ サラバ カクメイテキ セダイ ヨンジユウネンマエ キヤンパス デ ナニ ガ アツタカ そうかつ せよ さらば かくめいてき せだい よんじゆうねんまえ きやんぱす で なに が あつたか、 サンケイシンブンシユツパ ニホンコウギヨウシンブン 5840 さんけいしんぶんしゆつぱ にほんこうぎようしんぶん 5840、 サンケイシンブンシユツパ ニホンコウギヨウシンブン 5840 さんけいしんぶんしゆつぱ にほんこうぎようしんぶん 5840
いろいろな声が載っている
★★★★★
とにかく、
当事者世代の言葉もあれば、
あとに続く世代、
さらには反対をした側の人たちの言葉も、
載っていて、楽しい読み物だった。
ただ、
重信房子の言う「大義」がなんだったのか、
日大全共闘の具体的な目的はともかく、
なんであんな暴力沙汰になったのか、
などなど、核心にはなかなか触れられていなかった
ような気がする(これまでの本の多くもそうだが)。
楽しく読めるのは間違いない。
「総括せよ!」を重くみてはどうだろう
★★★★☆
全共闘に関わった人の中には、当時権力とたたかった割りに、卒業後は資本主義の世界にどっぷりつかり、たまに武勇伝は語れどきちんと当時を、そして自分の露骨な転向を総括しないで、「のうのう」と生きてきた人もいるだろう。そういう人ばかりではなかったのかもしれないが、全共闘より後の世代には、そうした変節を嫌悪している場合もある。
本書の基本的な姿勢としては、こういう全共闘世代への批判的な気持ちや、きちんと当時を語って総括してほしいという思いがあるようだ。とはいえ、彼らを追い詰めたりしているわけではなく、元全共闘が総括に躊躇するさまは、それはそれとして読者に提示している。40年たってもきちっと向き合わないというのはなんだか哀しい人生という感じがする。だからあえて「総括せよ!」とタイトルは挑発するのだろう。私も同じように思う。
全共闘側のみならず、彼らを抑えた機動隊側や警察側が、はたまた、彼らの親世代が、当時どんな風に彼らをみて、関わっていたか、も描いており興味深い。「それぞれの全共闘」がそこにはあったことがわかる。ある機動隊員が学生を追い詰めたとき自然に「大丈夫か、怪我はないか」という言葉を発していて自分でもびっくりしたというが、そんなリアルなエピソードにも本書は事欠かない。
趣旨上、深い分析はないし、とくにいったい全共闘とは何だったのだ?という大問題に取り組むものでもないが、当時関わった人の現在の生の声をききたい向きには有用かと思う。
いろいろな「総括」の形。
★★★★★
「産経」というと、今の新聞記事の論調とかから、どうしても露骨にあの当時の学生運動を批判するような、そんな書籍を期待する人は期待するかもしれませんし、逆にそういう点があると思って先入観で嫌悪する人がいるかもしれません。
でも、正直、それはもったいないなあ…と思います。
この本は、簡単に言ってしまえば、あの当時どういう立場であれ何か動いていた人に対して、インタビューしたものをまとめたルポ本です。その中には当時の活動家だけでなく、右翼(鈴木邦男ですね)とか警察関係(佐々淳行ですね)とかもいます。
実はこれまで、あの当時のいろんな立場の人の本を集めたものというのはなくて、著者がいて、その著者の経験ないし感じ方しか書かれていないような本しか、このジャンルは出てなかったように思います。だから経験談としては面白いのですが、それ以上の価値はない本が主流だったように思います。
しかも最近の場合は、こういう人の情報を適当に集めて適当に貼り付けて、著者の思うがままに賛美したり中傷するような本も目立ってきていたように思います。
あの当時の学生運動が「歴史」という形になりつつある今、その経験者たちをインタビューして、いろんな立場の人から意見を聞くような本を作ったことは、あの時代を「歴史」として客観的に研究する上の資料を提供してくれたのかな、と思います。
この本は、重信房子に独占インタビュー取ったとかそういうことが結構話題になってるんですが、どちらかというと私はそういう知名度が上の人たちのルポよりも、あの当時「兵士」として現場の前線レベルで活動していた人たちの話の方が面白く感じました。
そういう話をなかなか聞く機会がなかったからかもしれませんが、やっぱり当時の立場で上の人と下の人では「総括」の考え方が違うように感じるんですよね。下のほうの人たちのほうが吹っ切れ方がすごいという印象を受けました。
ただ、これは上のほうの人たちが「総括」から逃げているわけじゃなくて、上の人たちも下の人たちもやはりちゃんと「総括」というものを真面目に考えているところはあると思います。ただ立場が違うからそうなっただけで、上だろうが下だろうがあの当時真面目に戦ってた人たちは、真面目に「総括」を考え、悩み苦しんでるんだと思うんです。
そういうことを知ることができた、という意味においても、この本は価値があるのかな、と思います。
この本自身は★5つ。これを作った産経新聞もまだまだ捨てたもんじゃないな、と思いました。
ただ、これは本そのものとはあまり関係のない話なのですが、あの当時現場で動いていた人たちが「総括」だのなんだの悩み苦しんでいる間に、それを遠巻きに見ていた人たちが、いつの間にか言論の世界とか市民運動の世界で、さも知ったかのように勇ましいことを言ってるような気がするんですよね…
…なんか違和感を感じるのは私だけでしょうか?
全共闘の全体像を描く入門書 重信房子独占インタビューも注目
★★★★★
産経新聞大阪本社が1年以上かけて行った連載記事の書籍化。全共闘運動から40年がすぎ、あらためてその意義や成果が問われるなか、全共闘経験者たちではなく、若い世代の記者があらためて関係者たちに取材し、時代を検証しようとこころみたものである。全共闘運動の著述の多くは、全共闘関係者たちによる「回顧録」であるか、単純な全共闘批判の終始するかのどちらかであるが、この本はそのどちらでもない。キャッチフレーズは「総括せよ」と挑発的だが、内容は丹念で丁寧なインタビューによってつづられている良質なルポルタージュ作品となっている。挑発に乗ってしまって、おもわず本書を開いた団塊世代も、読み進めるうちに、のめり込んでしまったという人も多いはずだ。
内容は、重信房子被告への獄中インタビューなど、これまで普通のマスコミでは踏み込めなかったところにも入りこむなど、スクープ的色彩も強い。また、全共闘との敵と味方の証言が同時にきちんと収録された初めての全共闘本といってよいかもしれない。
一方、全共闘を直接しらない人たちにとっては時代の入門書としても適しているといえるだろう。全共闘や学生運動に興味を持った人はまず、本書をみてから類書をみることをお薦めする。巻末の参考文献は、全共闘にからむ基本書リストにもなっている。
産経新聞大阪社会部は社会現象を深く掘り下げるルポ作品を次々と生み出している。死の問題に正面から切り込んだ「死の教科書」、生活保護制度の光と陰をクローズアップした「生活保護が危ない」(ともに扶桑社新書)、また、注目の大阪府知事の実像に迫るとともに、読者とともに橋下府政について語り合った「橋下徹研究」(産経新聞出版)など、新聞社ルポ作品のヒット作を連発しており、今後の作品も注目される。