ボンドが愛した唯一の女性、それがトレーシー
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イアン・フレミングの翻訳本は古過ぎて、特にフランス語表記は滅茶苦茶で読書中興醒めしてしまい、
結局原作を読むのが常です。
ペーパーブックの方が丈夫で字も大きく、読みやすいですね。
さて、シリーズ最高傑作の誉れも高い本作ですが、納得の出来栄えです。
トレーシーは駆け落ち結婚したのみならず、一度子供を設け死別すると言う、映画にはなかった不幸を背負っています。
彼女の心の殻を除去するのにボンドがどれ程苦労したか・・
初登場の宿敵ブロフェルドは丸坊主ではなく、Syphilisのため鼻がない異形の男です。
ブロフェルドとブント(愛人関係!)が狙撃に使ったのは黒いメルセデスではなく、赤いマゼラーティです。
映画のSki chaseを聞きながら読めば興奮も倍増でしょう。
英語も平易で読みやすいと思いますよ。
ボンドとブロフェルドの直接対決!
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原作においては、前作「Thunderball」でブロフェルド、スペクターが初めて登場します。前作ではスペクターのNO.2エミリオ・ラルゴとの代理戦争でした。本作で初めてNO.1ブロフェルドとの直接対決が実現します。
「Thunderball」「On Her Majesty's Secret Service」「You Only Live Twice」の3作はスペクター3部作、スペクター・トリロジーと呼ばれています。続けて一気に読みましょう。
映画でも原作どおりに「Thunderball」の次は「On Her Majesty's Secret Service」の製作が当初予定されていましたが、シチュエイションが似ているために「You Only Live Twice」が繰り上げられて製作されました。原作の順番で映画化されていたら、ボンドはショーン・コネリーだったことになります。歴史に「もしも・・・」はありませんが、もしそうだったら面白かったですね。監督もテレンス・ヤングだったら最高です。