認知科学の視点からの政治についての考察
★★★★☆
G. Lakoffは、言語学者、認知科学者として世界的に知られていますが、最近は政治に関する本がよく出ています。本書もその一つと言えます。副題に"A Cognitive Scientist's Guide to Your Brain and Its Politics"とあるように、認知科学の視点から政治について考察している内容です。したがって扱う内容は政治に関するものが主であり、本書にMetaphors We Live byやWomen, Fire, and Dangerous Things: What Categories Reveal About the Mindのようなことばを中心とした認知言語学的な考察を主に求めることは出来ません。
政治については詳しくわかりませんが、認知科学の視点からの考察は興味深く、知的好奇心を刺激されます。特にオバマ大統領の育った環境やものの考え方や視点は知りませんでした。日本では初の黒人アメリカ合衆国大統領ということで話題になりましたが、そんなことよりも実はそのものの考え方や視点が重要だと本書で考えさせられました。これによって、オバマ大統領の目指している核廃絶への動きやアメリカでの健康保険の問題などの理解が深まるでしょう。
認知科学からの考察ということで、レイコフのこれまでの研究を知った上で読むほうが消化できると思います。しかし認知科学だけに興味がある人には本書はお勧めできません。やはり政治が主に扱われているので、政治と認知科学の両方に興味がある人にお勧めできる一冊です。
ペーパーバックということで書き込みづらいので星4にしました。