概念を形作るメタファー
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言語において、いかにメタファーが重要であるかを示した歴史的著作。
言語どころか、思考までもが実はメタファーに左右されているとか。
以下概要
メタファーには常套的メタファーと非常套的メタファーがある。
前者は、例えば「時間を浪費する(浪費、はもともと金に対する言葉)」のように、もはやフレーズとして我々の日常に深く入り込んでいるものである。
後者は、「その理論は、排水管周りに欠陥がある」のような、定型的な使い方でない、まさしく通常メタファーと呼ばれるものである。
メタファーは、その特徴においてまとめ上げられることが多い。
例えば、「時間を浪費する」「時間を節約する」「時間をとっておく」などは、時間を金になぞらえている点で類似している。
メタファーは、われわれの思考・概念を形作る。
例えば、上記のように、我々は時間と金とを似たように考え、また概念づけられている。
どのようなメタファーが作られるかは、個人の経験や社会全体の歴史・経験・慣習に依拠している。
我々の言語の理解は、言語と我々自身との相互作用によるものである。
言語が独立で絶対的意味を有したり、我々自身が絶対的に意味を決めれるわけではない。
我々の理解を決めるのはメタファーである。
これまで無視されてきたメタファーを言語学のど真ん中にもってくるのは圧巻でもある。
なお、本書の原著は英語なので、英語が持ち合わせている概念(例えば、upにはどのようなイメージが付与されているか)の具体的な例も豊富に出ている。
本筋から外れるが、英語を学ぶ上でも本書は有用だと思われる。
認知言語学にとって記念碑的な書
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今までメタファーは詩的なものとして研究されてきたが、本書によって、メタファーの本質は単に言葉の問題ではなく、ある概念領域を別な概念領域によって理解するという、我々の不断の生活に密着した認知能力であることが提唱され、今ではそれが定説となっている。
また、存在メタファーが基本的なメタファーとして提唱されている点も興味深い。
意味論や認知言語学を勉強する人は、必読の書といえる。
洗練された良書
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認知言語学、メタファー理論を専門とする人なら誰でも読むべき良書。
もちろんそれらに携わっていない人でも、示唆的な記述が多く、役立つ。
リバイズドされ、ますますこの本の価値は証明された。
この本をとっかかりに、メンタルスペース理論やブレンディングなどの、
他の領域に手を伸ばすことも出来るでしょう。
もう古典の仲間入り・・・
★★★★☆
いまや言語学では、生成理論(Chomskyが開拓しているもの)と認知言語学が二大勢力だが、その認知言語学の火付け役が、本書であろう。とりわけ、文学サイドの研究対象だったメタファー論を言語学の研究対象のど真ん中に持ってきたところに本書の価値がある。英語が読める人は原書を薦めるが、英語が極端に苦手な人は、この翻訳でも十分真意は伝わると思う。
生活の言語
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私たちは、有限の言葉を用いて無限の事柄を伝えます。
有限の言語を私たちはどのように使っているのかが詳しく分かります。
例えば「議論」の場面で使われる言葉は「戦争」の用語が使用されたりします。
Lakoffの広範囲にわたる認知言語的分析を楽しむにはこの本しかありません。
ぷぺぺ書店
★★★☆☆
Metaphors We Live Byメタファーとは何か。それを教えてくれます。