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往生要集〈上〉 (岩波文庫)

価格: ¥987
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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稀代の学僧の情熱 ★★★★★
天台宗一宗にとどまらず、後の鎌倉新仏教にも大きな影響を与えた源信の大著。
源信には他に一乗要決のような優れた理論書もありますが、本書では理論より実践を重んじる内容に徹しており、改めて仏教における「行」とは何かを考えさせられます。
また、念仏を観想念仏・称名念仏と分けて捉え、後者が発展形であるかのような考え方もありますが、往生要集を紐解いて感じることは観想・称名いずれも他力行であり、そこには両者の差異にとらわれない阿弥陀に身を任せた信の極致があるということです。
そのような観点から正修念仏章以降を読むと、矛盾している部分をばっさりと割愛したり、逆にくどいように繰り返し同じことを書いたり、また肩透かしを食らうような結論で終わらす源信の文章も、ただ信心を要としてそれを伝えることに徹した文章術だと考えられる気がします。
いずれにせよ源信の「行」と「信」に賭けた並々ならぬ信念を本書の一字一句から感じ取ることができて感動します。
第三章以降は非常に難しく感じるかもしれませんが、そこにこそ稀代の学僧の情熱が込められているのでしょう。
こわいですねー!地獄。 ★★★★☆
 親鸞のことばに「いづれの行もおよびがたき身なれば、とても地獄は一定すみかぞかし」(歎異抄)という有名な言葉があるが、親鸞にも法然にも地獄についての具体的な記述は見られない。

 ところが源信はこれでもか、これでもかと大蔵経の中からかき集めてきた具体的な地獄のようすをリアルに描きだしている。とくに印象に残ったのは「刀葉の林」という地獄である。

 一本の樹の上に「端正厳飾」というから美しくてきれいに着飾ったねーちゃんが立っていて下にいる男を招く。スケベ心を起こした男はそのねーちゃんに近づこうと樹を上っていくと・・・なんと木の葉がみんな刃物でできている!男は傷だらけ血だらけで樹を登ってゆくとねーちゃんは何と樹の下にいるのだ。ねーちゃんは下から男を見上げて「あなたが好きだからここに来たのよん、なんで私のところに来て抱いてくれないの?うっふん」とばかり誘惑する。男は「欲心熾盛にして」これを見て、今度は降りてゆこうとすると「刀葉上に向きて利きこと剃刀のごとし」というわけで、また傷だらけ血だらけになる。やっとの思いで下に降りてくると、ねーちゃんはまた上にいる。やれやれ、その繰り返しが果てしなく続く。

 いやー、怖いですねー、ホラーですねえ、スプラッターですねえ。では、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。

割と原文自体が分かりやすいし、校注が比較的多いので高校程度の古文ができれば何とか読めると思う。

日本の仏教を学ぶ上での必読書 ★★★★☆
宗教が「死の克服」を第一の任務とするなら、
(20世紀まで不合理きわまりないキリスト教をなんとかして弁護しようと思想家が苦心惨憺したのも死の恐怖からの逃走の一端であろう)
「地獄の恐ろしさ」との対比によって御仏の慈悲を強調する本書も、恐怖を直視しようとした試みに他ならない。
勢い剰って地獄の恐ろしさばかりが伝えられるが法然、親鸞はいうにおよばず日蓮、円空さえもこの書に踏み込んでのち答えを得るに至った。